大井川通信

大井川あたりの事ども

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

自国の政治家/隣国の政治家

ネットを見ていると、自国の政治家(指導者、権力者、トップ)をあがめて、隣国の政治家をおとしめるコメントがあふれている。彼らはマスコミの報道などうそばかりだという。ほとほとうんざりする。 一方、そうした風潮を批判する側の発信もあって、それによ…

こんな夢を見た(反体制小説家)

とある古書店で伊藤〇〇という小説家を知る。3巻本の全集を出していて、そのお店に来る人たちの間では神格化されている存在だった。僕もその一冊を手に取ってみるが、他の作家の書くものとは全く違うという真価を読み解くまでにはいたらない。 本を読んでい…

鳥の鳴き声の紹介(厳選版)

子どもたちに、三種類の鳥の鳴き声を聞かせる。いずれも、このあたりで昼間から、大きな声で鳴いているものばかりだ。 まずは、ウグイス。ホーホケキョは有名だけれども、谷渡りという鳴き声(ケッキョ、ケッキョと激しい)もウグイスであることを話す。同じ…

すた丼の味

子どもの頃、質素で堅実な家に育ったので、何でも美味しく残さずに食べるように教えられた。両親とも、戦中戦後の食糧難の時代を経験しているから、食べるモノがあることのありがたさが骨身に染みているようだった。当時の学校給食でも、この精神は教育され…

「阿蘇の灯」の語り部から聞く

三年前の熊本大地震による阿蘇の被災地でのフィールドワークに参加した。 当時は、熊本城の被害がクローズアップされたが、僕には、阿蘇訪問時によく使っていた阿蘇大橋の崩落が衝撃的だった。その近くに下宿する東海大の学生がアパートの倒壊で亡くなり、た…

小泉八雲旧家と桂花本店

出張帰り、熊本市街を歩く。修繕中の熊本城を横目に見て、市電を降りる。近くには、五校(旧熊本大)教師時代の漱石と八雲の旧家がそれぞれ保存されているようだが、近い方の小泉八雲(1850-1904)の家の方に立ち寄る。 デパート裏にある街中の公園脇の古い…

『高熱隧道』 吉村昭 1967

読書会の課題本。吉村昭だし(といっても彼の作品をまったく読んでいないのだが)、ドキュメンタリーだし、あんまり文学的でなさそうだし、ということで全く期待してなかったのだが、どっこい、かなり面白かった。 一つには、これが黒部渓谷のトンネルの難工…

非常階段の話

ガチャガチャ(ガチャポン)のおまけには、とても変なものがある。200円か300円を入れて、ハンドルをガチャガチャと回して、カプセルを出す、あれだ。昔は10円のガチャガチャだった。今では、100円のものでも見当たらない。 ガチャガチャのコーナーをのぞい…

役場とヒバリと山伏様の銀杏と

本当に久しぶりに、休日の朝の町を歩く。馬場浦池では、カイツブリの親子を発見。もう一人立ちして、立派に潜水を繰り返している子どもだが、まだエサはうまく取れないのだろう。水面に出るたびに親が口移しでエサを与えている。 旧街道沿いを歩いて、旧役場…

こんな夢をみた(押し入れの母親)

実家に戻ると、父親は出かけていて姿が見えなかった。でもその父親という人はずいぶん若くて、まったくの別人のように思えた。母親は病気で、もう長くはもたないということだった。 しかし、ずいぶん元気そうだ。僕のために布団を取り出そうというのだろうか…

井山、いやまて!

僕の小学校の頃にも、道徳の時間というものがあって、副読本みたいな教材を使っていたと思う。その中に、語呂合わせみたいなこの言葉が出ていて、妙に耳にこびりついている。 クラスの子どもたちが、ケンカをする。それをとめた担任の井山先生が、あとでみん…

桜桃忌に太宰治の『桜桃』を読む

今日は太宰治(1909-1948)の忌日の桜桃忌だそうだ。実家の比較的近くには太宰が入水したという玉川上水が流れているし、太宰の墓がある三鷹の禅林寺にも行ったことがある。 しかし桜桃忌を当日に意識したのは初めてのような気がする。ただ、意味記憶とエピ…

『老いと記憶』 増本康平 2018

年齢を重ねると、確かにある時期から、記憶力の低下と呼ぶしかない事態に直面することが多くなる。著者は、認知心理学の研究に基づいて、実際に高齢者向けの講演を続けてきたというだけあって、この問題についてツボを心得た解説を行っている。専門的な議論…

ゴマダラカミキリとケヤキの木

昼間、玄関の脇の地面に、ゴマダラカミキリが歩いている。今年も、そんな季節になったか。小ぶりの身体だが触覚が長く、見映えのするスタイルだ。黒地に白の斑点模様で、青みがかった光沢のウエットスーツを着込んだような姿だ。甲虫で美しさを感じるのは、…

ある文芸評論家の死

加藤典洋さん(1948-2019)が亡くなった。冥福をお祈りしたい。90年代に、加藤さんを囲む会みたいな場所で、何度か話を聞いた。その風貌と話しぶりは、いかにも「文芸評論家」という感じで好感をもった。けれど、作品に関しては、当時から僕にはピタッとく…

恵比須神社の遷座(せんざ)式

旧玉乃井旅館の玄関横に鎮座する恵比須神社。そのホコラの修繕と設置、鳥居の新築が終わり、ご神体を新しいホコラに移す、遷座式が行われた。玉乃井の玄関に紅白の幕を張り、祭壇を設けて、地域の神社の神主さんが祝詞がとなえ、玉ぐしが奉納される。 僕は、…

哲学カフェに行ってみた

地元で長くやっている「哲学カフェ」があるというので、知人に誘われて参加してみた。おそらく、そういうものを、成立させたり、運営したりするのはとても難しいだろうと予想はしていたが、やはりなかなかストレスのたまる会だった。 一般的な哲学カフェは、…

三題噺の行方

今年になってから、気の合った同世代の友人との勉強会を続けている。月に一回、事前に日にちを決めて、ファミレスで4,5時間話をするだけの気楽な会だ。気楽だから、何の準備もないとただのお話会となってしまう。そこで、お互い、この一カ月の報告もかねて…

『ノンちゃん 雲に乗る』 石井桃子 1967

子どもの頃と同じ装丁で、今でも書店に並んでいる懐かしい本。これは姉の本だったから、当時僕は読んではいない。聞けば、良い本だから、と父が姉にプレゼントしたらしい。そんな父の想いを想像しながら、読んでみた。 戦前(昭和10年前後か)の東京郊外に住…

暗礁と空ぶかし

政治を語る言葉は、とても単純だ。たとえば、ある政党の政治家の語る言葉は、つねに、政権の悪だくみを暴く、というものに終始していた。僕ははじめ、それを大衆を動かすための方便なのかと思っていたが、どうやらそうではなく本気らしい。かつて埴谷雄高が…

『山のトムさん』 石井桃子 1957

僕は子どもの頃、1968年に福音館書店で再刊された本を持っていた。今手元にあるのは、自分の子育ての時に書店で見つけて買っておいたものだ。猫を飼ってみて、あらためて読み返してみた。 やはり、これは猫を飼わないとわからない本だと思った。子どもの時に…

ハチの次は、キュー

ハチが亡くなったときは、妻はもう猫は飼わない、といっていた。実は、妻はハチとはじめから上手くいっていたわけではない。手術の後遺症で手に傷をつけてはいけない妻は、かんだり、引っかいたりが好きなハチに手を焼いていた。潔癖症に近いところもあって…

おあお鳥と山の媼(おうな)

時々、友人が近所の鳥の声を録音して、メールで種類を尋ねてくれる。自然の豊かなところにすむ神主さんの家系の人なので、鳥の声も珍しくて、僕の勉強にもなる。 先日、友人の聞きなしだと「ふぉわお~ふぉわお~」と鳴く鳥の録音が届いた。ウグイスやカラス…

『現代建築の冒険』 越後島研一 2003

中公新書の一冊で、建築の一般書として特別に評判を呼んだ本ではないのだろうが、僕にはとても重要な本だ。10年ぶりに再読して、あらためてそう思った。 10年前読んだあとに、東京の都心部を歩いてみて、著者のいう④「縦はさみ型」のビルが多くあることに目…

あちこちの南無阿弥陀仏

仕事関連で、一日に二カ所、葬儀に参列した。二カ所とも県内で遠方だったため、文字通り東奔西走した感じで、車の走行距離は250キロメートル以上になった。二カ所とも高齢の実母を亡くされている葬儀で、昨年の僕もそうだったが、同世代は中年を過ぎて親世代…

町家の離れでごろごろする

用事で遠方に出向いたら、その近くに白壁の古い町並みがあった。江戸時代からの土蔵造りの商家が、かなり残っている。国から保存地区の指定を受けて、それなりに観光地として売り出してはいるようだが、平日の昼間のせいか、人の姿はほとんどない。第一、真…

鳥の声とともに(2019バージョン)

今年も、視覚の障害のある子どもたちに、実際の音源を使って、鳥の声の聞き分け方の話をした。身近な鳥で、今の季節に戸外で聞くことができるもの、鳥の暮らしや人間とのかかわりの多様さがわかるものを選びたい。昨年より少しバージョンアップ。 まず、キジ…

資源目録と経済倫理

およそ30年前の廣松渉の対談本を読み終わる。最後の章は、社会主義の行方という内容で、今読むと、とても古びた話題と理屈が語られている。冷戦崩壊直後の時代にはかろうじて認めることができた社会主義をめぐる希望や可能性が、その後完全に潰えてしまった…

弱さは強さ

勤務先に次男を迎えにいくついでに、駅近くのアーケード商店街を歩く。夕方近くというのに、人はほとんど歩いていない。開いている店が十軒に一軒もないような、文字通りのシャッター街だ。それが延々と続く。 別の商店街に入ると、こちらはさらに老朽化して…

こんな夢をみた(悪夢)

近頃はめったにお酒を飲まないが、飲むとかえって眠りが浅くて、寝付けなかったり、朝早く目覚めたりする。体質にあってないのだろう。そういうときは、断片的な夢をいくつも続けてみる。お酒を飲まなくても、体調が悪くて眠りが浅い時には、夢をみがちであ…