大井川通信

大井川あたりの事ども

手帳の話

今年もまた、新年度の手帳を購入する時期がやってきた。

僕は、若いころから仕事用の手帳を使ってきたけれども、その使い方はまるで下手だった。ほとんどを捨てずに持っているので、それを見比べると一目瞭然だ。

まるで日記みたいに、年度当初だけつけて、あとは白紙が目立つ年も多い。年間を通じてスカスカの年もある。仕事やっていたのだろうか、という感じ。実際に、あまり仕事熱心でもなかったし、仕事が上手でもなかった。

もっとも、スケジュール管理は、卓上のカレンダーやメモ帳でやっていて、わざわざ手帳に転記して持ち歩く必要がなかったのかもしれない。手帳をある程度細かく付け出した40代後半は、記憶に自信が無くなってきた時期にもあたる。勉強会仲間の吉田さんは、同世代ながらすぐれた記憶力の持ち主で、今でもスケジュール管理を頭の中だけでやっているという。

若いころは、仕事とプライベートを一緒にするのが嫌で、それぞれの手帳を持ったこともあったが、もちろん二冊ともスカスカでうまくいかなかった。50歳を過ぎて、仕事と私生活を両立させる余裕と知恵が生まれたせいか、今では、すべての情報を一冊の手帳にぶち込んでいる。

仕事上の予定は、黒のボールペンで記入し、それ以外の予定は、青のボールペンで記入する。それぞれの頭には手書きで四角いボックスをつけておき、終了時には、赤のボールペンでボックスにチェックを入れる。振り返り用の記録は、同じく赤い字で記入する。職業人生も最後に差しかかって、ようやく年間を通じて安定した記入システムを手に入れることができたのだ。

ところで、手帳は、ずっと手のひらに収まるサイズだったが、5年ほど前から視力の衰えと情報量の拡大とともに単行本くらいのサイズに変え、来年はいよいよノートような大型版を使うようにした。生活と身体の変化とともに、それを支える道具も変わっていかざるをえないのだろう。スマホを手帳代わりというのは、ちょっと受け入れがたいけれど。