大井川通信

大井川あたりの事ども

次男の子育て(高校入学)

夏の一次試験、冬の二次試験と倍率3倍の試験をかいくぐって、特別支援学校高等部の一般就労を目指すクラスに合格した。二次試験では面接対策がぬけていたにもかかわらず、こわもての先生の質問にも臆せず単語で切り返す様子は、後から何度も笑い話の種になった。

 「君は、休みの日には何をしていますか?」「インドア派です」

 「君は、本校で何を学びたいですか?」「技術です」

合格には妻と二人で大喜びしたものの、高校は寮生活だ。初めて次男を学校に送って別れたときには、お互い何ともしんみりした気持ちになった。手のかかる子どもだっただけに、家に戻る土日を心待ちにする日が続く。ちょうど長男が大学生活を満喫して家に寄り付かなくなった時期だったから、平日の家は火が消えたようにさみしくなった。

選抜組だけに級友はなかなか優秀だ。10人のクラスを参観していて、ワタルが決してクラスメイトの上位にいないことに気づかされた。先生が、テキストを開くように指示をだす。何かに気を取られたワタルだけが、指示に気づかない。昔からのウィークポイントだ。

それともう一つ、同年代の友人とのコミュニケーションが苦手という点も、学校と寮との濃密な人間関係では弱みとなった。大人とのコミュニケーションは、面接の時のようにめっぽう得意なのだが、言葉が遅れて仲間の輪の中に入りそびれたワタルは、友人たちには委縮してしまう。

 そんなわけで、高校では中学校での優等生ぶりが影を潜めてしまったのは、ちょっと残念だった。