以前もこの手の定年関連本を手にとったことがあるが、これは比較にならないほどよい本だった。
大手企業を新卒から定年まで勤めあげて、定年後起業し、文筆家として成功しているという、かなり恵まれた境遇を背景にして書かれている、という前提条件ではあるが、豊富な知識とバランス感覚、なにより著者の人柄の良さが相まって、定年をめぐっての優れた指南本となっていると思う。
とくに実際的な知識に乏しく、経験とバランス感覚を欠いている僕には、いちいちもっともな指摘と、役に立つ情報が多く、バイブル的に利用できそうだ。とくに以下の二点については、目からウロコで、喫緊の決断の参考になった。
お金について、定年後の心配がさほどでもないこと。公的保障がかなりあてになり、民間の生命保険が不要であること。また、定年後のお金の管理が「節約」ではなく「無駄をなくす」ということであること。
定年後は働くことの意識を180度変えるべきであること。サラリーマン脳を脱するためには、「そもそもつまらない」「65歳で強制終了」の再雇用ではたらくことを避けるべきであること。