大井川通信

大井川あたりの事ども

イソヒヨドリの送迎

7年ぶりに、駅まで歩くJRでの通勤となった。それだけでなく定年で、働く環境もだいぶ変わっている。環境の激変の中で、昔の仲間からのあたたかい声かけは何よりもうれしい。駅に通じる道沿いのビルから聞こえるイソヒヨドリの鳴き声もそうだ。

「停車場線」という古風な名前の道の両側には、10階建くらいのマンションが所々に建っている。海岸の岩場に生息するイソヒヨドリにとって、コンクリートのビル街は、岩の絶壁のようで、住みやすいのだろう。

海鳴りに負けないよくとおる笛のような声を、ビルの谷間に気持ち良いくらい響かせている。朝はもちろん、薄暗くなった夕方でも。例年、この春の時期にさえずりが目立っていたと思う。

おそらくイソヒヨドリの名前を知る人は多くないだろう。オスの身体は濃いブルーに胸のあたりが丸く濃い赤色で、よく見るときれいなのだが、ずんぐりとした体形もあって、あまり目立たない。

僕も、バードウォッチングを始めたきっかけの一つがこの鳥で、自室の窓から隣家の屋根にとまるイソヒヨドリを見つけて、初めは調べても種類がわからずにとまどった思い出がある。

ともあれ、新生活が、イソヒヨドリの歌声に包まれて始まったことに感謝しよう。