大井川通信

大井川あたりの事ども

武蔵国分寺跡を歩く

三億円事件探訪のついでに、武蔵国分寺跡を見ることになった。国立方面から歩く場合は、尼寺跡を通って金堂跡脇に出ることになるし、国分寺から歩くときにはお鷹の道を通て、現国分寺武蔵国分寺跡の背後)からアクセスすることになる。

それが今回はたまたま三億円事件の第一現場から北上したために、旧参道付近を通って正面から遺跡の全体と向き合うことになった。まず、南大門跡、その先右手奥に七重の塔跡。門から離れて金堂跡、その背後に講堂跡。左手後方のかなり先には、尼寺跡。こうして伽藍全体を歩いてみると、その規模の大きさには改めて驚くが、近年整備が進んで、全体像がイメージしやすい新しい工夫もされている。

たとえば金堂跡では基壇が再現されており、基壇上の礎石配置から建物の規模が想像できるし、仏像を安置した内陣を一段高くして堂内の様子を想像する手がかりとしている。桁行7間、梁行4間(正面122尺36.1メートル、側面56尺16.6メートル)の堂々たる大建築だ。

これは、先日奈良で拝観した興福寺の再現された中金堂(正面124尺)に匹敵するような規模で、当時の荘厳さがおのずから目に浮かぶ。

かつてのような草ぼうぼうの史跡であると、「兵どもが夢のあと」と往時をわびしく忍ぶしかないが、発掘調査に基づく史跡公園は、もっとクールに想像力を発動させて、新知識とともにその「再現」を楽しむことができる。これは歓迎すべきだろう。