小学校1年生のハルキ君にすすめられて、はじめてインド映画を見る。
結果から言えば、とても良かった。ドタバタ要素もあるコメディだが、文明批評の視点もあって、これを大人にすすめられるハルキ君の優秀さに驚いた。
原題は、三バカトリオ的なもの。邦題の「きっと、うまくいく」(all is well)は主人公がとなえるお守り言葉で、登場人物たちの楽観的な精神をあらわしているキーワードだ。インドの国民性を象徴しているものかもしれない。
立身出世主義と一番を目指す競争がはびこるエリート工科大学を舞台にして、主人公は本当にやりたいことを学ぶことの大切さを主張して強烈なアンチテーゼをたたきつける。そのことは、主人公のように恵まれた出身ではない親友二人に災いをもたらす。一番主義の権化学長の娘と主人公のロマンスあり、主人公の卒業後の失踪というミステリー要素もあり、インド映画らしい華やかな歌と踊りがあり、3時間近い長尺の映画だが最後まで楽しむことができた。終盤には三人とも退学という最大のピンチから逆転の事件勃発で学長も改心して、10年後の主人公の成功に至るハッピーエンドだ。
15年前のインド映画だが、そこに現れた価値観は50年くらい前までの日本とよく似ているような気がする。その後ポストモダンと消費社会の洗礼を受けて、頑張ることを忘れてしまった日本では、とても今のインドに経済や科学技術の分野で太刀打ちできないだろうと実感できた。
ネパール語とネパール文化を学習中の僕には、気づきの多い映画だった。123の数の数え方も、食事を意味するカナも、ネパール語と同じように聞こえる。言語も習俗も共通点が多いのだろう。