大井川通信

大井川あたりの事ども

鳥の声とともに

視覚特別支援学校に通う子どもたちに話す機会があった。本当は、決められた原稿の通りに挨拶すればいいのだけれども、どうしてもやりたいことがあった。昨年、同じような機会に少し鳥の鳴き声の話をしたのだが、子どもたちに好評だったと、あとで教えてくれた人がいたのだ。それで今回は、CD音源を用意して、何種類かの鳥の鳴き声を順番に聞いてもらうことにした。

聴覚を中心にして開かれる世界の持ち主が、その世界の中で、鳥たちの鳴き声を聞き分け、鳥たちとの出会いを楽しむことができるなら、どんなにか世界が豊かになることだろう。

初めはキジバト。デデ、ポーポー。聞いたことあるー。でもこれは君たちの家の近くで、一羽やツガイでいるハトの鳴き声で、公園に群れでいるドバトとはちがうんだ。

次にカラス。身近なカラスも二種類いて、身体の大きくてゴリラみたいなハシブトガラスと、ほっそりとしたハシボソガラス。アー、アー。この澄んだ声がハシブト。ガー、ガー。濁った声はハシボソ。

こんな風にして、トビ、ウグイス、ホトトギスコジュケイホオジロ、ヒバリの声を説明する。本当は、鳥を見分けたり、鳴き声を聞き分けたりするのは、とても難しい。そのかわり、聞き分けられる鳥の声を増やしていくのは、時間をかけて友達をつくるような楽しみとなる。そのことのきっかけになってくれればと思う。