大井川通信

大井川あたりの事ども

次男の子育て(のぞみ園)

3歳から3年間、毎週一回、療育施設「のぞみ園」の療育訓練を受けにいくことになった。この施設の先生たちには大変お世話になった。今でもたまに、次男を連れて行ったり、親だけで訪ねたりする関係を保っている。海水浴やバーベキューなど行事もあって、保護者の方たちとの交流もありがたかった。次男より重い障害の子どもさんのいる家族の頑張りには励まされた。

幼稚園の年少さんに入園する年齢だったが、長男と同じ幼稚園のリトルという入門コースみたいなところに母同伴で通園した。まるで言うことを聞かずに、勝手に園庭に飛び出すことが多く、妻には気苦労があったようだ。

4歳からは、二年間キリスト教系の幼稚園に入園する。障害に理解のある園で、補助のための専任の先生をつけてくれた。ワタルは登園すると、その先生の膝の上にちょこんとすわって、妻が迎えに行くまで、一日中面倒をみてもらっていた。

とにかく言葉の意味がわからず指示が聞けなかったから、街中でも手を離すと、どこまでもまっすぐ走って行ってしまう。繁華街で迷子になって警察に頼ったこともあるし、自宅周辺でも行方不明になり、近所の人たちが手分けして探してくれたこともある。

以下は、当時の次男の様子を僕が描いた「誕生会」と題した詩。

 

舞台のお友達は/自分のクラスの席にもどってください

今月/四歳、五歳、六歳の/誕生日を迎えた園児たちは/くものこをちらして/観客席の大勢の仲間の方へ/帰っていく

あとには/たくさんのカラの椅子と/椅子の一つに/ぽつんと座った/五歳のワタルがいて

先生の言葉の意味がわからずに/ぼんやり観客席の方を/ながめてた

今日は幼稚園のお母さんたちと百人分のカレーを作って疲れちゃった

仕事から帰って/妻が持ち帰ったお祝いのカレーの残りを食べながら/とおい舞台の/ワタルを見つめる

 

次にワタルにの身に大きな変化を訪れたのは、5歳の誕生会から半年経った秋の初めだった。