大井川周辺を歩いていて、オアシス運動の標語がかかれた古い掲示板があるのが、以前から気になっていた。大井に一つ。村山田にも一つある。
オ 「おはようございます」
ア 「ありがとうございます」
シ 「失礼します」
ス 「すみません」
僕は今まで、こんな標語を見たり、聞いたりしたことはなかった。前半は、いい。しかし、後半での、たたみ重ねるような受け身の姿勢はどうなのだろう。身が縮むようだ。よく言えば、謙虚だし、実社会ではかえって役立つ標語なのかもしれない。
ネットで調べると、意外に全国に広がっているあいさつ運動であることに驚いた。昭和30年ころに、ある社会教育主事によって考案されて、全国に広まったものらしい。この社会教育主事は、お金のかからない公民館結婚式の発案者でもあるらしい。
日本が敗戦の荒廃から立ち上がって、経済成長を始めた頃だ。旧来の社会秩序が大きく揺らいでいく時代に、必要とされた標語だったのだろう。僕が育った東京郊外の住宅街では、新しい市民社会の建設の理想が強かったから、「守旧派」の匂いのする運動は、入りにくかったのかもしれない。
ただ、こんな事実からも、当時は、今とは比較にならないくらい公民館や社会教育のパワーが強かったことがわかる。
最近の個人のブログで、最後の「ス」を「すばらしい」に変えようという提案を見かけた。あいさつ運動の標語としてのクオリティや統一感はともかくとして、なるほど、そのほうが今の時代にはふさわしいだろう。