大井川通信

大井川あたりの事ども

凍結の恐怖

今年二度目の寒波がやってきて、この地方の二度目の大雪となった。大雪といっても、職場の庭で計った積雪は、前回は6センチ、今回は9センチだ。特に今回の雪は、深いようでもふかふかで、比較的あっさりと溶けてしまう。

昨日からの雪にも、自分の中では車で大丈夫という、妙な自信があった。今までの経験上、これくらいの雪では車道に積もることはないし、雪の残っていない轍を注意して走りさえすれば、今まで問題はなかったのだ。ところが。

早朝、車の温度計は1℃を指している。横殴りの雪が降っているが、道路をうっすら白くする程度だ。病院に検査に行く妻と次男を駅まで送ってから、職場を目指そうと大通りの坂を上ると、タイヤが空回りするような嫌な感覚がある。街中がこの状態では峠などとても走らないだろうと、ようやく気付いて、その場で方向転換したのがいけなかった。

凍結した道では、下り坂の方がはるかに危険ということに思い及ばなかった。しかもふだん使っている坂道が意外に急こう配であることも勘定にいれていなかった。

ゆっくり下っているにもかかわらず、車が勝手に歩道側へと向きをかえてしまい、ハンドルをいじっても容易に修正できない。ブレーキの手ごたえもない。なんとか車をとめ、じわじわと発進しながら、ハンドルのコントロールを取り戻す。

いつもなら数分で戻れるような近所だけれども、この時ばかりは無事に家にたどり着くのが至難の業に思えたし、それを強く祈りながらじわじわ走った。

わずかに雪のかかった道をのろのろと走る車を馬鹿にしたように書いたことがあるが、ごめんなさい。彼らが恐れていたのが道路の凍結だということが、身に染みてわかった。そんなことも知らなかった僕は、いままでずいぶん危ない橋を渡ってきたわけだし、一歩間違えば重大な事故を起こしていたかもしれない。ぞっとする。