副題は「カンディンスキーのうたう色たち」。原著の出版は2014年。
僕は、美術館で出会う名画の中で、カンディンスキー(1866-1944)の描く絵がなんとなく好きだった。抽象画であっても、色も形象も明るく楽しく、生き生きとしている感じ。抽象画が埋まれる直前の、色彩にあふれた具象画も面白かった。
この絵本は、カンディンスキーの生い立ちにさかのぼって、彼の絵画の誕生の秘密を書いている。彼にとって、色と音とは不可分であり、色が発する音やダンスに耳を傾けながら描かれたのが、抽象画という新しい絵画だったのだ。
もちろんかなり単純化されたストーリーだろうが、カンディンスキーの絵にはらまれているエネルギーや喜びの感覚の出どころがわかった気がした。絵本としては特に優れているわけではないが、こんなふうに画家を子どもたちにわかりやすく解説する手段としては面白いなとおもわせてくれた作品。