大井川通信

大井川あたりの事ども

カラスの亡骸とカンタロウ

年初のお祭りが終わってから、東公園からカラスの姿が消えてしまった。広い公園の周辺では、何羽かのカラスを見かけるのだが、かつて公園のあちこちで何十羽もいた群れの姿が見当たらないのだ。

公園の小さな池と水路には、冬に飛来したたくさんのカモたちがいて、水面が狭すぎるためか地面で休んだり芝の上を列をなして歩いている。掃除が行き届いて、雑草も枯草もない都市公園では鳥のエサの分量が限られているだろう。

一年中いるスズメやハトやヒヨドリムクドリのほかに、シロハラジョウビタキ、モズも姿を見せている。エサの少ない都市公園をカラスが見限ったのかもしれない。

公園内を一周したら、植込みの陰に、カラスの新しい死骸が落ちていた。こんなことは珍しい。まさかカンタロウではないと思ったが、一応手を合わせてお祈りをした。想像つかないが何らかのアクシデントがあったのだろう。この「事件」をきっかけに、カラスのコミュニティがこの都市公園を危険と判断して立ち去ったというのが真相に近い気がする。

別の日、カラスがほとんどいなくなった公園を手持無沙汰で散歩していると、少し離れた枝にカラスが一羽止まっている。まさかと思って近づいても逃げ出さず、愛嬌よく小首をかしげている。近くの枝に飛び移って鳴くので、追いかけて鳴きまねをすると、少しだけだが鳴き声の応酬をすることができた。カンタロウだ。

群れが退避しても、カンタロウは気にかけて戻ってきてくれたのかもしれない。しかし、カンタロウもなんだか少し元気がないようだった。