大井川通信

大井川あたりの事ども

ランドマークの消滅

ひさしぶりにコガネ町の商店街を訪ねる。ほとんどの店がシャッターを下ろしていて、いよいよおじさんの口上どおりに「黄金市場もいよいよ危ない」事態になったかと思ったが、どうやら日曜日は市場全体のお休みの日らしい。しかし、この市場の(ごく近い)近未来を見たような気もした。

そんな中、いつもの路地の脇の路上には、おじさんの「店」の形跡があって安心する。娘さんの近所の花屋に回ると、そこにはおくさんがいて、初対面となった。おじさんは今日はお客が少ないので引き上げて、家で寝ているそうだ。

小柄なおじさんとくらべて、でんと構えた風のおくさんだ。耳が遠いらしく、娘さんが僕のことを説明してくれる。店の大家さんのおくさんがムナカタの人らしく、ムナカタには縁があると家族で話しているそうだ。地元の佃煮のお土産を渡して店をでる。

コガネ町の最寄のモノレールの駅なるミハギノには、国道3号線と駅前大通りがぶつかる大きな交差点がある。36年間に初めてこの街を訪れたときから、この交差点には背の高い独特のデザインのマルゲンビルが建っていて、ミハギノのランドマークとなっていた。そのビルが取り壊されている。

一度もビルに入ったこともなく、そこに知り合いがいるわけでもないのだが、愕然とした気分になる。街が文字通り身体の一部である「顔」を失ってしまったような気がした。

 

 

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