若い人と話していたら、幼い子どもが好きなモノについて面白い話を聞いた。彼は教師なのだけれども、生徒たちの興味が向かう方向が分からない、自分の子どもについてはいっそうわからない、ということだった。
彼の子どもは電車が好きなのだが、よくよく聞いてみると、トンネルが何より好きみたいなのである。それで、休みの日にどこに行きたいかと聞くと、トンネルに行きたいというから、その都度、新しいトンネルをめざしてドライブしているのだそうだ。ネットでも、トンネルの動画をひたすら見ているという。
この話にはオチがあって、実はトンネル動画の大半が心霊スポットの探訪ものであり、そのため子どもの様子を心配しているとのこと。
たしかにトンネルというのは、高速でいきなり山のお腹の中に入り込み、山の向う側に抜けるというとんでもない体験だ。子どもの眼には、それがどれだけ新鮮でスリリングな出来事に映っているのかは想像できない。
僕の長男は、幼児の頃、トンネルではないが大型スーパーで屋上の駐車場に上がるときのらせん状のスロープがお気に入りだった。めまいを起こすような体感と、そのあとのスーパーのおもちゃ屋さんでのわくわくの予感が一体となっていたのかもしれない。
そんなとき、ぐるっとまわってビッグウエイ(店名)♪、と口ずさんでいたことを、ふと思い出す。