大井川通信

大井川あたりの事ども

ヒメハルゼミとゲンゴロウ

コロナ騒動も落ち着いて、ようやく地元のセミの様子を調べる余裕がでてくる。

秀円寺の裏山から大井に降りようと近づくと、はやくもヒメハルゼミらしき声が聞こえてくる。一昨年、昨年と気づかなかった。秀円寺の並びにある和歌神社まで来ると、鎮守の杜では、さかんにヒメハルゼミ蝉しぐれが降ってくる。

ふと和歌神社の前の田んぼをのぞくと、水面になじみのある波紋が広がっている。ハイイロゲンゴロウだ。大井には毎年発生の多い田んぼはあるが、ここではなかった。水抜きの途中なので、残った水面に集まってきたのかもしれない。

ゲンゴロウとなると、さすがのヒメハルゼミも単なるバックミュージックになる。水中にはヒメガムシが多いが、負けないくらいハイイロゲンゴロウもいる。しげしげと水中を見つめていると、今まで捕まえたことのない種類のゲンゴロウらしき小さな影が。

こうなると大井川歩きの原則もどうでもよくなる。自宅まで小走りで戻り、網とビニール袋をもって、今度は車で和歌神社前に駆けつける。残念ながら、先ほどの虫は姿を消しているので、ハイイロゲンゴロウを数匹つかまえた。

今日の調査では、和歌神社から、納骨堂の裏山までつづく林で、ヒメハルゼミの鳴き声が確認できた。少し離れたところでは、医師会病院駐車場裏の森や、ヒラノの須賀神社の鎮守の杜でも。ただ、それらの場所ではヒグラシの声が主役で、ヒメハルゼミの声ははあまり元気がなかったりする。

和歌神社に戻っても、しばらくはヒグラシたちの声ばかりが目立った。しかしやがてヒメハルゼミの大合唱が始まって、ヒグラシの声をかき消してしまう。やはりこのあたりの林の中でも、和歌神社は別格だ。ヒメハルゼミ交響曲は、薄暗くなる七時半すぎまで続いた。