大井川通信

大井川あたりの事ども

『動詞Ⅰ、Ⅱ』高橋睦郎 1974、1978

念願だった二冊の詩集をようやく手に入れることができた。ネットで簡単に状態のいい古書を見つけたというわけだが、やはりうれしい。

ざっと目を通してみたが、やはり現代詩なので、即座にどれもこれもいいと感じるわけではない(ちょっと残念)。でも、きっとじわじわと好きな作品がひろがっていくのだろう。そうなってほしいと思う。

そのためにも幾つかを引用する。まずは哲学的な思索を結晶化させたような、シャープで明快な作品。個人的な読書経験でいえば、前者は永井均独我論から、後者は今村仁司の暴力論から学んだことを直截に連想させる。

 

わたくしがいる、きみもいる、ということは成立しない。わたくしがいることは、わたくし以外のすべてがいることを拒んでいる。(「いる」)

 

集まる人々は石打ち殺すために集まる。集まる人人の到達点たる広場の中心に石打たれる人がいないとすれば、集まる人人のなかに殺されるひとりが含まれている。(「集まる」)

 

 

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