大井川通信

大井川あたりの事ども

玄関ポストを修繕する

小学校の頃、親に毎日つけさせられていた日記の中で、「ぼくは技師になりたい」と書いていたのが記憶に残っている。技師という言葉は工場勤務だった父親の影響だろうが、僕はそもそも工作が得意だったのだ。小学校の教科図画工作も嫌いではなく、成績もよかった。プラモデルもよく作っていた。

それが、どうしていつの間にか、不器用でDIYとは無縁の情報弱者となってしまったのだろうか。

人間の主体性の根源は「私はできる」という経験であるという哲学説を信奉しているが、人間はできることを「道具」によって拡げてきたはずだ。道具が苦手ということでは、人としての根本が毀損していると言われても仕方がない。歩いてばかりが能ではないのだ。

それで玄関ポストの修繕に果敢に立ち向かうことになった。郵便箱も情報を受信する重要なデバイス(周辺機器)といえる。

大き目の門柱に組み込まれた郵便箱なのだが、フタの部分の透明なプラスティックがずれてしまっている。ずいぶん前からガムテープで押さえているが、見かけがよくない。そのうえ、最近、フタを開けるためのつまみが、劣化してとれてしまった。こちらは毎日の使用に差支えがある。

ホームセンターのナフコに行き、工事用の両面テープの小さいのを購入。赤くかわいいプラスティックのつまみを勘で選ぶ。計画性はない。なんとかなるだろうというフィーリングで。

フタの窓の部分のズレをなおして両面テープでしっかりとめ、古いつまみの残ったネジをはずして、新しいネジで新品のつまみをとめる。ただ、ここで問題が起きる。フタは磁石で固定されるようになっている(台風の時などは必要だ)が、頭が丸いネジでは、磁石が少し離れてしまい効かないのだ。

なるほど。それで頭の平たい古いネジを再利用して事なきを得る。100均で売っている色々なサイズのネジのセットも役にたつが、DIYには道具や部材のストックが大切だと実感。簡単な修理でも、日常使われているモノにいろいろな工夫があることを学べる。

情報弱者からの脱出のためには、日常の暮らしや家事のレベルからの立て直しが必要なのだろう。日暮れて道遠し、か。