大井川通信

大井川あたりの事ども

九太郎の近況

一歳になって、もうじき我が家に来て一年になる九太郎は、ずいぶん大人になった。そして、すっかり家族の一員という顔をしている。

まず、はっきり家族への対応に序列をつけるようになった。以前は、毎晩、夜中に僕の部屋に甘えにきたものだが、めったに来なくなった。昨日など、扉の外でにゃあにゃあ言うから開けてあげたのだが、廊下からのぞいただけで、帰ってしまった。

一方、毎日食事をくれて世話をしてくれる妻の存在が絶対になっている。子猫の時でも人に抱かれることはそれほど好きでなかった九太郎も、朝一番、妻の座る椅子の下に来て、抱いてくれと甘えるようになった。本当に気持ちよさそうな顔をして、長時間妻に抱かれている。

その時以外も、妻が小物などを作る作業用の机に飛び乗って、妻の目の前でぬいぐるみのようにじっとすわっている。

前に飼っていた八ちゃんは、机でも出窓でも棚でも、どんどん高いところに飛び乗って、そこに置いてあるものを、ひょいひょいと猫パンチで落としてしまう。怒りまくっていた妻もあきらめて、八ちゃんがあがる場所の小物をすべて片づけるようになった。

猫のおかげで部屋が片付くという話も聞いていて、猫とはそういうものだと思っていた。

九ちゃんは違う。花瓶もペン立ても人形も落とすことはない。散らかった机の上も、忍者のように小物の間をすり抜けて歩き、小物の間にじっと身をひそめる。そこ以外でも、ソファーボックスの上や、お気に入りの段ボール箱の中など、一日中、妻の近くにひかえている。決まった場所以外に飛び乗ることもない。

一方、昨年末から家に戻った長男に対しては、自分の弟分と思っているのか、扱いが雑だ。ちょっかいをかけるためでもあるが、よくかみつかれている。遊び仲間くらいに考えているのかもしれない。

僕の方は仕事から帰ってきても、残念ながらとくに無反応の扱いだ。以前は車の音だけで、玄関先まで迎えに来てくれたこともあったはずだが。しかし冷蔵庫を開けるときだけは、えさをねだって足元にじゃれついてくる。