特別支援学校の高等部を卒業して老人介護施設に就職した次男は、四年目の今も、毎日仕事に励んでいる。先日スーパーのレジでバイトをしている中学校の同級生の女の子と話をした妻によると、大学4年生でコロナ禍の就職活動に苦戦しているとのこと。次男も大学に行っていたら、もうそんな時期にあたるのかと感慨深い。
あまり社交的とはいえない次男は、一緒に寮生活を送った高等部の友人たちとも、いつの間にか疎遠になってしまった。新しく友人を作るのは難しいから、学校の友達を大切にしたらとアドバイスはしているものの、彼には彼なりの事情があるのだろう。ただ、職場と家の往復だけの生活にならないための居場所づくりを着実に行っているのは、我が子ながら立派だと思う。
少し離れた街にマンガ博物館があって、マンガが読み放題のため、子どもの頃によく連れていっていた。就職後すぐ、土日のどちらかに一人で通勤定期を使って通うようになった。
介護は肉体労働なので、足腰を痛めがちだ。隣の駅にあるショッピングモールにある整骨院を教えてあげると、月に何回か勤務の帰りの金曜日などに自分から通院するようになった。
地元に温泉施設があって、駅前から無料バスが出ているし、館内で食事も休憩もできる。以前から家族で利用することもあったが、妻が一人での行き方を教えると、毎週半日間は温泉に浸かって、食事やゲームを楽しむのが習慣になった。これが次男の一番のリラックスタイムになっている。
仕事柄体力をつけたいという思いがあるらしく、今年になって長男に近隣のジムに連れて行ってもらうと、さっそく会員になって一人で通うようになった。まずジムに行ってそのあと温泉に行くなんて日もあるようだ。
きっかけは周囲の声かけやアドバイスだったりするのだが、いったん行くと決めると、あとは人の指図を受けたりせずに、自分の判断で行く場所を決めて、それを継続するあたりは、次男らしい。逆に自分のペースをつくれない友人との交際は苦手なのかもしれない。
4か所も行く場所があるのだから、休日の過ごし方で退屈することはないだろう。次は、免許証を取るために自動車学校に通うことをアドバイスしようと密かに考えている。