大井川通信

大井川あたりの事ども

交渉の得意な女(その2)

次男は、特別支援学校の高等部を卒業して、学校推薦の老人介護施設に勤務して6年目になる。

2年目、3年目の頃までは、人間関係のことなどで壁に突き当たって親が乗り出したこともあったが、ここのところ落ち着いて仕事しているようだった。ただ、勤務が片道1時間半くらいかかる遠方のため、地元の街への転職をそろそろ考えないといけないと思っていた。

最近になって、長く一緒に働いている人との関係がこじれて、本人が仕事に行くのを嫌がりだした。替わったばかりの施設長に電話をすると、その当人と妻が直接電話で話してくださいという。相手にも言い分があり、妻が折れてその場は治まったが、このままでは次男も仕事がやりにくいだろう。

すると、妻は施設長と掛け合って、本社の人事部と直接交渉を行い、次男の同じ街にある施設への転勤を要望したのだという。入社したときから、その最寄りの施設での勤務を希望していたが、規模や定員(職員構成)の関係で難しいと言われたので諦めていたのだ。

なまじ僕のように組織での勤務に染まっていると、組織内にあるだろう諸事情や、現場の頭ごなしに上と話をつけることの弊害が気になって、とてもできない振舞いだ。ただ、妻は、本社での次男の入社式で、会社のカリスマ会長と親しく話したりしているので、その点での気安さはあったのかもしれない。

この要望がすんなりとおり、次男はお盆明けから、地元の街の施設への転勤が決まった。片道30分ほどの通勤時間だ。車なら15分くらいだろう。

新しい職場の施設長との面談があって、介護職として一人前になる心意気が必要であるという話があった。前の職場では比較的簡単な作業に追われていたので、これからの職業人生を考えると、大変には違いないが頑張りがいはあるだろう。

こうして、我が家の大きな課題の一つが、妻の交渉力によって実現することになった。母の力、おそるべし。

 

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