大井川通信

大井川あたりの事ども

次男の子育て(作文と読書)

次男の勤める職場では、職員研修の後のレポートを書く課題がけっこうな頻度である。今回子育てを振り返りながら、次男が小学校入学時、宿題が好きだったことを思い出したが、今でも提出日の何日か前には書き上げてしまう。

確か入社して丸一年がたったときに、一年間の仕事を振り返る課題が出された。A4一枚をびっしり埋めないといけない。次男も困っていたので、一日の仕事を朝から順番に並べて、それぞれ何行かづつ仕事の中身を説明し、感想や課題を付け加えたらいいんじゃないか、という程度のアドバイスをする。

あとで書き上げたのを見て、驚いた。文字はうまくはないし、漢字の使い方は稚拙な感じがする。しかし、その文章と内容に非の打ち所がないのだ。ふつう下書きもなしにぶっつけ本番で書くと、文章が途中でねじれたり、文意の流れがおかしくなってしまうものだが、次男の文章には、そのような破綻がまったくない。

一年間で自分が努力して改善してきたこともアピールしているし、これから克服しなければいけないことも謙虚に書いてある。新入社員の作文として十分以上のものなのだ。僕は、我が子のことながら、ちょっと背筋が寒くなるような気持ちがした。長男にも読ませたのだが、やはり驚いていた。

よく発達障害自閉症の人には、特別に人並外れた才能があることを聞いたりするが、次男は言葉の遅れを伴う軽度の知的障害であり、正面切っての言葉の運用には、どう考えてもハンデがあるはずなのだ。思いやりや感情面では、他の子どもに勝るとも劣らないものを感じているが、それはまた別の話だろう。

ところで次男はマンガを読むことが好きだが、高校時代の友人の影響でライトノベルの蔵書もある。マンガはともかくライトノベルについては、(父親と同様)積読ではないかと疑いをもっていた。

昨日次男から電話があって、二日連続で途中下車で立ち寄った本屋で、前の日の話とは違い目当ての新刊が入荷していないとがっかりした声で話してきた。ここは親バカぶりを発揮して、隣町のモールの大型書店に電話してその本がすでに入っていると確認する。そのことを教えると、お父さんさえよければ車で連れて行ってもらいたいという。

マンガかと思っていたら、『転生したらスライム・・・』というような表題のライトノベルの第15巻で、二段組の小さな活字で400頁くらいある。帰ってから猛然と読み始め、3時間ほどで読み終わったというのには驚いた。僕なら読み通すのに間違いなく一週間くらいはかかるだろう。

「読み始めたら、その日のうちに読み終えないと気のすまない男だから」と次男は涼しい顔だ。人間の能力というのは、つくづく不思議だと思う。