大井川通信

大井川あたりの事ども

橋の効用

職場の昼休み、広い河川敷を散歩するようになって、楽しみが増えた。街中なので、1キロばかりの間に、大きなコンクリート橋が3つ架かっている。もともと橋という構造物自体が好物なのだ。

誰もいない丘陵の上で、街を見下ろしながら詩を朗誦するのも楽しいけれど、広い河川敷で、堤の上の街並みを幾分見上げながら暗唱するのも気持ちがいい。歩きながら声を出していると、橋の下(桁下空間というらしい)に入ったとたんに、声の響きが格段に良くなるのに気づいた。コンクリートの桁と橋脚に囲まれた大きな空間は、ホールのように反響するのだ。

それ以来、橋の下での人目を忍んだ独演を目的に、散歩の足を延ばすようになった。今日の演目は「わがひとに与ふる哀歌」とか。

河川敷には、暖かい日が続くようになって鳥たちも増えてきた。目立つのはムクドリツグミの群れ。セキレイイソヒヨドリの姿もある。とりわけ今日は、楽し気に飛び回るイワツバメの群れが目についた。

腰に白い帯が目立つイワツバメは、コンクリート橋の桁の裏に住み着くイメージが強いが、実際ここなら住居は選び放題だろう。近場で越冬しているのか渡りが早いのかはわからないが、この地域では例年ふつうのツバメよりかなり早く姿を見せてくれる。