大井川通信

大井川あたりの事ども

『げんきなマドレーヌ』 ベーメルマンス 1939

12人の女の子と、クラベル先生とが登場人物のとても楽しい楽しい絵本。さっと描いて動きのある絵もおしゃれでいい。舞台のパリにふさわしい。子ども向けの本には、たくさん子どもたちを描き分けているものがあるが、その走りかもしれない。

マドレーヌが盲腸で病院に入院する。クラベル先生と子どもたちがお見舞いに行って、おもちゃとお菓子のたくさんある病室に驚くが、なによりクラベルの手術の傷にびっくりする。ベットに立ってお腹を得意そうに見せるクラベルの姿が、こどもらしくてかわいい。

屋敷に戻ってから、夜中に残りの11人が盲腸を切ってほしいと泣き叫ぶというのがオチだが、その少し前に12人の子どもたちが食卓についているシーンが紛れ込んでいる。こういうのは大人は気づかないが、子どもはちゃんと数えるような気がする。絵本の古典だが、リアリティという点でどうなのだろうか。