大井川通信

大井川あたりの事ども

フェルメールを何点みたか?

夏風邪療養中意欲回復企画第2弾。

以前から気になっていたが、僕はいったいフェルメール(1632-1675)の実物を実際に何点目の当たりにしたことがあるのだろうか。展覧会のチラシやカタログを取り出したのをついでに、数えてみようと思った。

友人が大判のフェルメールの画集をくれて、その理由は間違えて同じものを2冊買ってしまったからという残念なものだったが、それをながめていたら、そんな考えが浮かんだのだ。フェルメールの展示のある美術展には努めて観覧するようにしてきたし、やはりフェルメールの絵を前にした緊張感は相当のものがある。

結果として真筆とされる(小林賴子さんの本による)32点のうち10点という中途半端な数になった。それも2008年の東京都美術館での「フェルメール展」の7点と、10年後の2018年の上野の森美術館での「フェルメール展」の8点との重複を除いた9点以外では、2005年の国立西洋美術館での「ドレスデン国立美術館」での「窓辺で手紙を読む女」1点を鑑賞できたのみという結果だった。

つまり、それなりにこまめに見ていた気がしていたのだが、その成果は直近の二つの大規模展を見ただけの人とほとんど変わらないことになる。それだけ日本に目玉として貸し出される作品が限られているということだろう。ちなみに、真筆かどうか意見が分かれる4点のうち3点をフェルメール展で見ている。そのうちごく小さな「赤い帽子の女」は印象に残る作品だった。真筆で圧倒的だったのは、二つの展覧会で見る機会のあった「牛乳を注ぐ女」だろう。

2018年の展覧会を見た後には、小林賴子さんの作品論を勉強して、その本の余白に作品の感想を書きこみながら理解を深めようと努力していたことを思い出した。次にいつフェルメールを見る機会が訪れるかわからないが、その時に備えて、僕なりの作品理解を仕上げておきたいという気になった。