介護職員初任者研修が終了した。最終日の修了テストも無事合格し、はれて修了証明書を手にすることができたが、とにかく予想外の収穫が大きな研修だった。
まず、土日を終日、13日間使って実施する研修がかなりハードだったこと。自分が体力的に衰えていることもあるだろうし、介護という仕事が一通り学ぶだけでも大変は幅広さと奥深さをもっている、ということがわかった。
介護は、自分が一人で生きていくうえでも避けられない、また人々とともに生きていくうえで不可欠な、人間にとって本質的で大切な営みだ。このことを実地で学べた意味は大きい。正直なところ、これほど役立った研修は初めてだし、こんなに楽しく充実した「学校」も経験したことがなかったような気がする。
そのことの最大の理由は、講師の方々にあったと思うが、それは記事をあらためて考えてみたい。
コロナ禍で人数が絞られた10人ほどの受講生の関係性も良かった。介護という間口の広い仕事の研修のためか、年齢も経歴も本当に様々であり、普通に生活している中ではお互い出会わないような人間同士が、グループワークなどをする姿は、これが社会の実際の姿なのだと思わせる。
最高齢の方は、地方の私立高校を65歳まで勤めた教員で、親の介護のために単身実家に戻り、介護施設にパートで勤務しているという。僕と同い年の人は、コロナ禍で勤務先のタクシー会社が倒産し、介護タクシーの運転手を目指している。現にデイサービスなどの介護施設で勤務している20代から50代までの女性もいる。
一番の若手は、僕の次男が学校でお世話になった先生の息子さんで、障害者施設で働きながら大学の学費をためて、将来特別支援学校の教員を目指す19歳だ。
一人20代の男性で、ちょっとやんちゃでぶっきらぼうな人がいた。運送業からの転職を考えているそうだ。ゲームが趣味で、休み時間にはすぐに自分の車に戻る。その彼が、最終日には、自分から僕に声をかけてくれたのには驚いた。
僕は、12日目の研修が仕事で受けられずに補講をしてもらって、なんとか最終日を迎えることができた。彼は僕の欠席を心配してくれていたらしい。終了できて良かったですね、という言葉には、彼自身の達成感から来る喜びも含まれていたような気がする。もしかしたら、彼にとっても、今までの人生で一番の「学校」だったのかもしれない。
若かったら、受講生同士で自然に連絡先の交換などするのだろうが、僕の年齢だとそのハードルが高い。13日間、楽しく勉強させてもらった仲間たちとも、もう会うことはないだろう。でもそれこそ社会のありのままの姿だという気もする。
みんなのこれからの健闘と幸せを祈るばかりだ。