年末の休日で、寒い中大井川周辺を歩く。気分がのったら、クロスミ様かヒラトモ様にお参りしようと思いつつ。秀円寺の脇を降りていくと、お寺の境内の杉の切り株と、鎮守の杜の無残に切られた大木の幹が目に入って、気が滅入る。
近くで農作業しているご婦人に、つい愚痴をこぼしてしまう。昔の人が生きていたら、きっとこんなことは許しませんよ。マスク越しでは同意してくれているのか表情はわからない。どうぞお参りをしてください、となだめられる。
鳥居の前で黙礼して、境内には入らずに通り過ぎる。村チャコによると、原田さんが米びつをつくろうと作業していたので、ギャラリーに誘われて少し話をする。数か月ぶりだけれども、ピタリと焦点の定まった話ができた。
原田さんはどんな時も、地道なモノづくりの作業をやめない。原田さんの思想の安定と深化を支えているのはこの手仕事の継続だろうと気づく。
外にでると風はさらに冷たくなっている。遠出はしたくないが、近場で訪ねたいところがあって、田んぼのあぜみちをまっすぐ歩く。昨年の今頃に、生まれてはじめて見つけてモズのはやにえが今年もあるのか、確かめたかったのだ。
目当ての有刺鉄線には、干からびた小さなカエルが三匹刺さっている。もう少し早い時期から観察したかったが、この秋はとてもその余裕がなかったのだ。
不意に真上の木の梢から、猛禽類が飛び出して、田んぼを滑空していく。時々ひらひらと翼をばたつかせているから、おそらくハイタカだろう。