39日目
今日は、まずカラスの多い池の周囲へいく。僕が鳴きまねをしながら足を踏み入れると、おかしなニンゲンカラスが来たと、カラスたちはパニックになって騒ぎ出す。この中にカンタロウがいるだろうか。なんとなくそれらしいカラスの姿が目にとまるが、確信がもてないままにそこを離れて、いつもの小高い林の中に入る。
軽く運動していると、背後でカア―というので振り向くと低い枝にカラスがとまっている。カンタロウがあとをつけて来てくれたのかもしれない。
しばらく話しかけたり鳴きまねをしていると、カンタロウは友達と連れ立ってずいぶん遠くの枝まで飛んで行ってしまう。二度追いかけっこをしたあと、こちらから思い切って近づいてみたが、カンタロウは逃げない。それどころかさらに近い枝に飛び移ってくる。自分の名前を覚えるようにと、「かんちゃん、かんちゃん、あそぼーよ」とたくさん呼びかけた。
43日目
いつもの小高い林に入ると、低い横枝にとまってカンタロウが待っていた。カンタロウが少し強めの声で、カア―カア―と5回か6回鳴き声をくりかえす。僕も数を数えて正確に同じ数だけ鳴きまねをする。その距離3メートル弱。
不意にカンタロウが、喉を伸ばして身体を一直線にして、頭を上下に振る(身体も上下に波打つ)ようにしてガラガラとうがいのような鳴き声を上げる。これぞ久々のカンタロウポーズだ。僕もできるだけ上手にまねをする。今回は身体の動きまでマネするようにした。これを何回かやり取りしたところで時間切れとなる。「かんちゃん、ばいばい、またあそぼーね」と言ってお別れ。