大井川通信

大井川あたりの事ども

美術展と絵葉書と図録と

次男を職業訓練校の見学に連れていくついでに、市立美術館によった。本人も美術には興味がないわけではないし、観覧料の免除制度もあるから、機会を見つけてもっと連れて行ってあげるべきだと思いながら。

印象派からエコール・ド・パリまでの名品を西欧の美術館から借りてくるという、ありがちな展覧会だ。ビッグネームが並んでいるから、はずれなく楽しむことはできる。以前は人並みに丹念に見るふりをしていたが、専門知識があるわけでもないので、絵をいくら見つめても何かがわかるわけではない。

ある時期から、ほとんど時間をかけずに、好きな画家の絵を遠目にみながら、名品の並んだ空間自体を味わうように方針を変えた。今回は、最後のあたりに、好きなキスリングが4点並んでいたのがうれしかった。

キリがないので、好きな画家の企画展とかでない限り、図録は買わないようにしている。記念に絵葉書を何枚か。

家に戻ってみると、あらためてずいぶん絵葉書がたまっているのに気付く。それをパラパラとめくって、好きな絵をランダムに見つける楽しみは、今の僕の展覧会の楽しみ方とちょっと似ているような気がした。画集をめくったのでは、このメリハリ感はでない。

それで、絵葉書を一掴み職場に持ち込んで、休み時間にぼんやり眺めるようにしたら、これが楽しいし、いろいろ考えさせられる。僕は、なんでヤウレンスキーの抽象めいた肖像画にひかれているのだろうか、とか。あるいは、自分がレンピッカの絵がとても好きなことに気づいたりする。

僕は、自分が実際に見た展覧会の以外の図録はできるだけ持ちたくないという変なこだわりがあるが、レンピッカは適当な画集がないので、2010年の展覧会図録の古本をネットで注文した。届くと、ほぼ新品だし、造本も立派で画集のようだ。満足する。