大井川通信

大井川あたりの事ども

大荷物の怪人 vs. 読書怪人

以前利用者ともめた店を避けて、隣町のジョイフルに行く。

朝の6時半。いつも吉田さんとの勉強会で使っている店なので印象はいいし、何よりモーニングのおかずの盛りが、僕の近所のジョイフルとは全然ちがう。ほうれん草もひじきも二倍はあるだろう。トイレもきれいだ。

今朝は、ジョイフルの駐輪場に、たくさんの荷物をのせてロープで固定した、ちょっと異様なムードの自転車がとめてある。客の少ない店内を注視すると、一番奥の席にその自転車の持ち主と思しきお客が陣取っていた。

年齢はまだ40代くらいかもしれない。作業着のようなものを着て、スマホを見たりしながら、時々眠ったりしている。姿が見えなくなるときがあって、店の外にも出ているようだ。僕もさすがに店外に出たことはない。店員もお客の独特の雰囲気のために声をかけたりはできないようだ。

座席の脇にも大きな袋があって、どうやら全財産を持ち歩くタイプの人ではないか。ただ店内でのゆたっとした雰囲気からして、先を急ぐ旅をしているわけではなさそうだ。

僕も早朝の空いている時間帯とはいえ、滞在時間は長い方だから、大荷物のお客さんと差別化するために、いっそう真面目に本を読んでみる。ただ、どうだろう。僕はカバンは一つだけだが、長男が買ってくれた麻のずだぶくろに、たくさんの本をパンパンに詰めて持ち込んでいる。どう見ても、ファミレスのモーニングを食べながら読み切れる量ではない。

違った種類の本をとっかえひっかえ取り出して、落ち着きなく読書する姿こそ、異様に見えるかもしれない。まさに読書怪人だ。

読書怪人が本が詰まったカバンを抱えて店を出るときも、大荷物の怪人は、まだ店の奥でこっくりこっくりしていた。