大井川通信

大井川あたりの事ども

カエルを食べてしまえ!

近ごろ読んだ英文のビジネス書の標題。やるべきことのリストの中で、一番やりたくないことから片づけなさいという趣旨。よく言われていることだが、醜いカエルに手を伸ばしてたべてしまおうという、おぞましい比喩にしたところに手柄がある。

そういえば、気の進まない課題から逃げ出すと、それが山の斜面を転がる雪だるまのように大きくなって追いかけてくる、という例えを、ある町長から聞いたことがあったっけ。これもかなり秀逸な比喩だが、原典はどこかにあるのかもしれない。

さて、僕にとって、醜いカエルあるいは襲いかかる雪だるまは、某大学の通信教育のレポートだった。司書資格をとるために昨年受講したのだが、なかなかやる気が出ずに後半の半年だけで何とか履修をした。

13科目中一つの科目だけ、年度末までにレポートの合格が出ずに、再々提出の義務が残ってしまった。レポートの直しだけなら、学籍の延長はしなくていい。しかし、ネットが使えなくなるので、レポートも受講も試験もこれまですべてパソコンの画面でやっていたものが、指定の原稿用紙に手書きで書かなければならないことになる。

用紙の購入申込から始めてまったく未知の手続き方法を理解することが、まず面倒くさい。そのうえで今さら苦手の手書きというのが気持ちをなえさせる。そもそも科目が、情報技術論とかで不得意分野だ。しかも、やっつけで適当にでっち上げたレポートの部分修正の課題を繰り返すのも食指が動かない。

そんなこんなで、遅くともゴールデンウィークでやるつもりの作業を伸ばし伸ばしにして、6月の終盤になってようやく書き上げて提出することができた。いざやってみれば休日一日でできる分量だったのに。

肥大化したカエルと巨大化した雪だるまから解放されて、実にすがすがしい気持ちだ。図書館関係の積読本にも気楽に手が出せるようになった。カエルをまっさきに食べずに長く飼うことには、この解放感という効用があるのかもしれない。負け惜しみでいえば。