大井川通信

大井川あたりの事ども

へへり峠を越える

コロナがやや収束したのと、新しい職場になれたのと、夏の暑さが終わったのと、ダイエットが本格化したのが重なって、先月くらいから大井川歩きも復活した。

コノミ山への往復(9月22日)、ヒラトモ様ツアー(10月18日)、クロスミ様経由モチヤマ訪問(10月25日)といった定番のコースをこなして、さてどうするか。

大井ダムから里山に入り、平井山を経由して、村山田に抜けるというそこそこ難度も距離も見どころもあるコースに挑戦することにした。このコースも山道に入ると倒木が倒れこみ、かなり歩きにくくなっている。なんとか急坂を登りきるとと、山に入って峰沿いに歩く。

里山に出入りするようになって、この峰歩きが楽しいことを学んだ。峰は比較的明るく、大きな樹木が並んでいて、踏み固められた道には雑草も少ない。両側が深い谷になっている部分などは、天界の遊歩道のようだ。

しばらく峰を伝って歩くと、突然、一面ソーラーパネルが敷き詰められた広場が現れる。この山上にある無人の広大で無機的な施設は、なんとも不思議な感じだ。しばらく周囲を歩きながら感慨にふける。大きくて見事だった古墳の石室も跡形もない。

「へへり峠」を降りて、「オサヨ様」に参拝し、村山田に降りる。大本教ゆかりの八竜神社にお参りしようとしたが、藪に埋もれて鳥居さえ隠れている。大和家のプライベートの神社だから、お世話する人がいなくなれば、藪の中で朽ちていく運命なのだろうか。

僕ももう少し本気になって、彼らのことを調べ、考え、表現しなければいけないと反省する。僕だっていつまでこの世に存在するかはわからないが、少なくともこの時代にこの場所で彼らを知ってしまった責任がある。

村山田の隣町の平井に入ると、住所掲示板があったので、思い立って吉田タケシさんの家を訪ねてみた。タケシさんは、6月に亡くなったひろちゃんの弟さんだ。先日のヒラトモ様ツアーにご夫婦で参加している。竹の杖をついて突然訪問した僕を快く歓迎してくれた。何より僕の調べた地域の伝承に興味をもってもらえるのがうれしい。

お土産にフェイジョアという果物をいただいて帰る。