大井川通信

大井川あたりの事ども

クェンティン・ブレイクの絵本をささっと探す

絵本はまるで素人だから、手探りでいい本を求めていかないといけない。『みどりの船』がとてもよかったけれど、書店にはブレイクの絵本はこの一冊しかなかったので、図書館に探しに行く。

検索機で探すと、9冊ある。ただし大半が閉架にあるので、今日はとりあえず開架の棚で見つかった二冊を借りてかえる。この二冊は期待したほどではなかった。絵本は子どものためのものだから、いろんな入口と楽しませ方がある。大人の琴線に触れるものばかりを書いているわけにはいかないのだろう。

マグノリアおじさん』(1980:翻訳2012)は、靴を片一方しかはいていない主人公の陽気なふるまいをリズミカルな言葉と絵で描いていく。一応、もう片方の靴を誰かからプレゼントされるというオチはあるが、作者が描きたいのはそこではないだろう。

子どもにとってちょっと得体の知れない、しかし不思議な魅力がある大人を描くこと。『みどりの船』とはストーリーの重さが違うが、他者としての大人という点で、マグノリアおじさんとトリディーガさんとは、同じだ。そして奔放なタッチの面白さも。

ヒルダさんと3びきのこざる』(2016:翻訳2017)でも、留守番の三匹のこざるが繰り返しめちゃくちゃないたずらをするシーンが楽しいが、それに不思議と寛容なヒルダさんという大人の存在感がある。ただしこちらは、ブレイクの絵ではない。

『みどりの船』は閉架だった。この絵本に出会うチャンスはそうそうなかったかもしれない。この本を棚に並べてくれた書店のセンスに感謝。