大井川通信

大井川あたりの事ども

なんもかんもたいへん、さようなら

昨日読書会で、今まで自分のやった聞き取りの報告をして、そのなかで黄金市場の「なんもかんもたいへん」のおじさんの話をした。それで懐かしくなって、久しぶりに北九州小倉の黄金市場に行ってみた。

僕が、市場の路地にしゃがみこんで野菜を売るおじさんの独特の口上が気になって、何度も通って交流を深めたのは、4年前の2019年だ。翌年にはコロナ禍が始まり、街に出ることすらはばかられる状況になった。のど喉元過ぎればなんとやらだが、今ではあの時の戒厳令が出たみたいな緊張感を思い出すことが難しい。その中で、自分も感染して死にかけているというのに。

おじさんが坐っていたいつもの路地は、商売道具も片付けられていて、もう商売の気配がしない。あらためてみると、向かいはちゃんとした八百屋さんで、その店先でよく野菜を売っていたなと思ってしまう。

もう「お店」をたたんだのだろうか。悪い予感がしながらも、少し離れた娘さんの花屋に行くと、おくさんもいる。お店をやめたどころか、昨年の夏(8月26日)に亡くなったということだった。

87歳だったそうだが、直前まで元気で商売していたというのはおじさんらしい。自転車で転んで足を骨折したが、患部から細菌が入って悪化してしまったそうだ。お土産の醬油をお供えしてもらうことをお願いして、呆然と市場をあとにした。

日記やブログの記事をみると、コロナ禍中も、何回か市場には出向いているが、結局一度も会えていない。去年の5月に「お店」にナカマル醤油を置き土産にしたのが最後になってしまった。

大きな大ごと、たいへんだ。なんもかんもたいへん。さようなら。

 

 

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