僕は1月はじまりのビジネスダイアリーを使っている。若い頃はハンディな手帳だったが、中年過ぎてからは中型のビジネスダイアリーになり、50代後半になって老眼がすすむと、一回り大判のものを使うようになった。
ところで、昨年の夏に、初めてこのビジネスダイアリーが壊れてしまったのだ。カレンダーの見開きのページが割れて、背表紙部分の接着剤が見事にはがれてしまった。派手な壊れ方だったし、今までそんなことはなかったので、びっくりした。
後での話だが、ネットで修繕の仕方を調べて、速乾性の木工用ボンドを背表紙部分に塗ってクリップで止めて乾かし、見開き頁の割れにテープをはって補強したら、全く元通りになったので事なきを得たのであるが。
これは一大事だ。まだ8月に壊れるなんて明らかに欠陥商品だ。制作した日本能率協会に電話をかけて、窓口の女性に商品番号を読上げて、僕はやさしく語りかける。こんなことは初めてだから、なにか製造工程に欠陥があったに違いない。僕はどうこう言う気はないが、きっと同様な苦情が入っているだろう。ぜひこれからの製造工程の改善に役立ててほしい。
僕は得意だった。これは間違いなくメーカー側が100%悪い。僕の方に問題があるなんて思いつきもしなかった。
ところが一年近く経った今、自分のビジネスダイアリーの使い方をながめながら、ふと思い当たることがあったのだ。
僕は5年くらい前から、ビジネスダイアリーの活用方法を完成させた。仕事は黒ペン、プライベートは青ペンで予定や内容を書き込み、後からの追記やチェックは赤ペンで行う。余白のページなども、メモや記録に使い、とにかく一冊ですべてまかなうこと。これでビジネスダイアリー一冊の負担はとても大きくなった。
さらに、2年前に退職して仕事内容が軽くなってからは、仕事中もビジネスダイアリーを机上に広げておくことが多くなった。業務量が減って扱う書類が少なくなったからだ。そうやって広げっぱなしになったビジネスダイアリーのうえに肘をついたり、ものを載せたりして背表紙部分に過度の負担をかけていることに気づいたのだ。
こんな想定外の使い方を繰り返していたら、早晩背表紙部分が悲鳴をあげてはがれてしまうだろう。まったく僕の使い方の問題だったのだ。あれほど得意そうにメーカにアドバイスしていたのに。
いやはや人生にはどんな見逃しがあるかわからない。思い込みはほどほどにしよう。