大井川通信

大井川あたりの事ども

モノの話

手品の思い出(悟空の玉)

あきっぽい僕が、一番長く続けてきた趣味は、手品なのではないかと思う。本格的に習ったことも、大きな舞台で演じたこともないが、ずいぶん長く細々と演じ続けてきた。 はじめの記憶。小学生の低学年の頃だろうか、学校の先生をしていた叔母が、コップと玉を…

駅弁をめぐるイリュージョン

駅弁容器とミニチュア駅弁のセットを玄関に展示するプランが未遂におわった話を書くために、久しぶりにコレクションを取り出してながめてみた。やはりいい。このまま仕舞うのはもったいない気がして、何気なく職場にもっていくことにした。 明日から職場の若…

宇宙人の頭骨(ヒラタブンブク)と諸星大二郎さん

職場が海の近くなので、昼休みにビーチコーミングをすることがある。僕の歩く浜辺では、あまり貝は多くない。それでいつのまにか、ウニの殻を集めるようになった。 浜辺に打ち上げられたウニのカラは、もちろん棘などはすっかりとれている。真中に丸い穴の開…

家族の人形と猫の人形

今年も、筑豊山中で正月に開かれる木工の展示会に行ってみた。そこで小さな猫の人形を購入する。展示室の隅に置かれた試作品のようだったが、ご主人の内野筑豊さんに頼んで売っていただいた。 我が家には、十数年前に内野さんから買った家族の人形がある。こ…

50銭の思い出

ピカピカの50銭銀貨を手に入れて、うれしかったものだから、妻に自慢してみる。銀貨を手に取った妻は、こんな思い出を話し出す。初めて聞く話。 子どもの頃、博多の下町には、いろんなものをリアカーで売りに来た。オキュウトや豆、豆腐、それにさお竹や金魚…

古銭を買う

僕には、ストックブック一冊分のささやかな古銭のコレクションがある。小学生の頃通った「国立スタンプ」で、わずかな小遣いで買いあつめたもの。その後、立川の中武デパートの古銭屋で、思い出したように手を出したもの。それに、母方の実家のおじさんから…

天体望遠鏡の話

実家の片付けをしていたら、押し入れの奥に細長い段ボールが立てかけてあるのを見つけた。すっかり忘れていたが、小学生の時に買った天体望遠鏡である。 アポロ計画をはじめとする宇宙開発にも影響されたのだろうが、当時の子どもたちの間で、天文学や天体観…

9469060522

亡くなった父親は、ちょっとした小物などでも、目立たない場所に購入日を書き込む習慣があった。数字の羅列なのだが、まずは西暦の下二桁。つぎに元号、そのあとに月日がつづく。 しかし、今回、小さな収納箱の引き出しの裏に、表題の長い数字の並びを見つけ…

天保通宝の来歴

少し前から、お財布に天保通宝を入れてある。なぜそんなことを思いついたのか、はっきりと覚えていない。ただ、生まれた時代が違っても、同じコインということで、小銭入れの中でよくなじんでいるのに驚いている。 レジの時に、500円玉の代わりに出しても良…

巨大なもの

これまた、今頃になってビデオ録画した『シン・ゴジラ』(2016)を観た。十分面白く、楽しめる作品だった。冷静になれば、生物にすぎないゴジラを、あれほど強力な存在に描くのは無理があるし、そのわりに無防備に活動停止してしまうのはどうかと思う。しか…

彗星の行方

今頃になって、レンタルビデオで借りて、新海誠監督の『君の名は』(2016)を観た。想像していたより、ずっと普通に楽しめるよい作品だった。物語では、彗星の接近が重要なモチーフになっているのだが、夜空に長く尾をひく彗星の映像がとても印象的だ。 僕が…

霞が関ビル誕生50年

日本で初めて高さ100メートルを超えた「霞が関ビル」が、この4月で完成から50年を迎えたそうだ。僕がちょうど小学校に入学した年の完成になるが、それならちょうど記憶にあう。 日本で初めての高層ビルのことは、当時たいへんな話題になっていた。東京…

のりたまとすきやき

週に一回はスーパーに買い物に行く。地域で一番安い店に通っているのだが、すぐ近くに同じくらい安い店ができた。どちらもチェーン店なのだが、ライバル店にあえてぶつけて出店する戦略があるらしい。いつも購入する商品については、どちらの店がどのくらい…

宇宙ロケットの引退

小学校の夏休み、アポロ11号の初めての月面着陸(1969年)を、テレビ中継で見たのを覚えている。目覚ましい宇宙開発を背景にして、当時の公園には、宇宙ロケットの姿をした遊具が設置されるようになった。大井川の周辺でも、ロケット型の滑り台のある通称…

へびゴマの謎

子どもの頃、行きつけの駄菓子屋「おっさんち」で手に入れたオモチャの中で、忘れられないのがへびゴマである。簡単なのに、その見事な仕掛けに感激したのだ。 鉄の軸にブリキの円盤がついた何の変哲もない小さなコマ。回しても何もおきない。ただし付属品の…

給水塔の話

年末、海に近い町の小さな本屋さんを夫婦で訪ねた。古い時計店を改装したお店で、前の半分はカフェとなっている。妻が盛んにカフェの方の店主に話しかけて、コーヒーの注文をした。あとで聞くと、イケメンだと興奮している。薬を変えて体調が戻り、そんな元…

霜柱とぬかるみ

東京都心で、48年ぶりに零下4度を記録したそうで、霜柱の写真が新聞に出ていた。多摩地区の府中市では、なんと零下8度だったそうだ。地球温暖化やヒートアイランド現象の影響だろうか、夏はかつてよりも熱くなり、冬は以前ほど寒くなくなった体感がある…

現代教養文庫のラインナップ

現代教養文庫は一風変わった文庫だった。文学と古典が中心だった老舗の文庫に対して、新書に入るような入門書や、単行本のような評論集、翻訳もの、変わり種の小説など、ごった煮のようなラインナップだった。社会思想社の文庫だから、社会科学系もそろって…

旺文社文庫の箱

だいぶ前に発行をやめてしまったが、学生時代には、旺文社文庫が好きだった。文庫には珍しく箱入りの時代もあって、当時は古本屋の棚でそれを見かけることができた。箱がなくなったあとのカバーも、他の文庫とは違って一冊ごとに違うデザインで装丁されて明…

原っぱのヒキガエル

実家の庭を、暗くなってから歩いていると、足もとを何か大きな生き物がはねるように横切った。すぐにヒキガエルだと気づいたが、ずいぶん久しぶりの出会いだった。 実家の横に大きな原っぱがあったときには、土地の主のようなヒキガエルがいて、間違えて踏み…