大井川通信

大井川あたりの事ども

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

Lampの20年

今日でLampが結成20年になるということを、バンドのブログをたまたまのぞいて知った。音楽にはうといので、ジャンルでいえばシティポップとでもいうのだろうか。 ながくインディーズで活動していたが、このあたりはさらにうといが今は配信とか音楽の流通も…

赤色巨星の憂鬱

オリオン座の一等星ベテルギウスの明るさが昨年末から急に暗くなり、これまでの半分以下になってしまったことを新聞で知った。それからしばらく曇りや雨の日がつづいていたが、今日ようやく星空を見上げることができた。 なるほどオリオン座の右肩にあたるベ…

『イカの哲学』 中沢新一・波多野一郎 2008

気になって、時たま手にとってしまう本。中沢新一が、在野の哲学者の波多野一郎(1922-1969)が書いた小冊子「イカの哲学」(1965)にほれ込んで、その本文と、分量では何倍にもなる解説をのせて出版した本だ。 中沢が憲法9条について問題提起をしていた時…

お前はただの現在にすぎない

お正月の間、近所の神社の門前町で餅を焼く手伝いをしていたという吉田さんとの月例の勉強会。今回で二年目に入る。吉田さんは、テレビについての考察を持ってきてくれた。 吉田さんのレジュメに、こんな文章がある。子どもの時、好きなテレビ番組の最終回を…

女子アナブームの前夜に

共通一次試験のことを書いていて、高3の時の選択授業の雰囲気を思い出した。僕の高校では、進路別のクラス編成をとらなかったから、希望の進路によって違った授業を受ける選択授業の時間があったのだ。 僕は文系だったから、理系のクラスメイトとは別れて古…

共通一次とセンター試験(その2)

ところで、年齢を重ねることのもう一つのメリットは、敗者復活のチャンスが必ずめぐってくるということだ。かなわなかった夢が実現する機会がひそかに訪れるということである。 昨年には、子ども時代からの夢である宮大工の真似事をする機会に恵まれたし、高…

共通一次とセンター試験

年齢を重ねることのメリットの一つは、たんなる思い出話が「歴史的証言」になることだ。若い人が数年前のことを話せば、それはたんなる個人の感想にすぎないだろう。しかし、50年前に新発売のトミカのミニカーを購入したという話なら、ちょっとした歴史的な…

介護と演劇(その2)

前回は菅原さんの演劇ワークショップの要点だけを書いたが、お年寄りを役者にした主宰する劇団の話もあって、さまざまに示唆的で説得力があった。 だから、すぐに記事にしたかったのだが、一か月以上かかってしまったのは理由がある。菅原さんのワークショッ…

介護と演劇

もう一か月以上前になるが、介護をテーマにした演劇ワークショップに参加した。正式名称は「老いと介護 演劇の力」で、講師は俳優にして介護福祉士の菅原直樹さんだった。座学が一時間で、そのあと三時間のワークショップがあった。参加者は20名ほどで、その…

少しだけサガンのこと

この二年ばかり小説を読む読書会に参加するようになって、僕も苦手だった小説を定期的に読むようになった。 何より驚いたのは、僕らのようなごく普通の生活者同士が言葉を交わす素材として、評論より、小説のほうがずっとふさわしいということだった。一見、…

『悲しみよ こんにちは』 フランソワーズ・サガン 1954

この有名な小説を、読書会のために初めて読む。予想外に面白かった。 まず、文章がとても正確で、気持ちがいい。たとえば、シリルとの密会のあと、家にもどったセシルが、アンヌの前で気まずくタバコを吸おうとする瞬間の仕草が、コマ撮り写真のように描かれ…

ヒラトモ様発見6周年

里山のてっぺんにヒラトモ様のほこらを発見して、今日で6年がたった。 郷土の伝説の聞き書きの古い本に、平和様という不思議な当て字(誤字)で紹介されているだけの神様が、実際に残されているかどうかは、半信半疑だった。大井を囲む里山のうち街側の半分…

諦めと手遊び

何度か触れてきたけれども、僕の実家は、伯父の家の敷地の奥にあって、家の大きさだけでなく、その暮らしぶりにも経済的な格差があった。それだけでなく、自分たちの立場がやや不安定であることにも、小さい時からうすうす気づいていたのだと思う。 似たもの…

トミカ50周年

ミニカーのトミカが誕生して、今年で50年になるそうだ。その時発売されたラインナップのうち、トヨタ2000GTとファレデイZという二種類のスポーツカーのモデルを買った記憶があるので、小学3年生の僕は、トミカの誕生に立ち会ったことになる。 そのことが書…

大学に入学した年

安部文範さんと折尾のブックバーに行く。 マスターが、安部さんと同じ大学の文学部の後輩とわかって、大学の入学年が話題になった。安部さんは、1969年の入学で、学生運動のただ中に足を踏み入れた世代だ。当時は、一年、二年の入学時期の差で、入学後の運命…

蜜柑と翡翠

うつうつ、くさくさした気持ちで道を歩いていた。考えないようにしても、いつのまにか考えてしまう。考え出すと、ぐるぐると止まらなくなる。いかりやうらみつらみなどの感情がわきだして、あふれだし、のみこまれる。そのとき。 道のわきの水路のよどんだ流…

ムラの長老たち

お正月に和歌神社を参拝したとき、拝殿の掃除をしていた組長さんご夫妻と話をした。一か月ばかりまえに、力丸ヒロシさんの奥さんが亡くなったという。 大正14年生まれのヒロシさんからは、ヒラトモ様やミロク様、大井炭坑のことなど、大井村の昔の様子を何度…

年初の大井案内

朝の散歩をかねて、姉に大井の周辺を案内する。住宅街から、秀円寺の裏山を伝って集落に降りる。ここには里山の雰囲気がかろうじて残っている。ひっそりと天保の石仏、享保の庚申塔があって、歴史の世界へと誘う入口となる。 大井川を渡り、クロスミ様へと続…

「なべやきうどん」の味

僕の実家では、今のように外食をする機会はほとんどなかった。時代は高度成長期で、まだ国民の多くは清貧な暮らしにとどまっていて、消費社会なんてものが成立する前だった。 その分、これも多くあったわけではないが、家で食事の準備ができなかったときに、…

僕たちの「リロケーションギャップ」

僕の姉は、20代で実家を出てから、30年以上毎週のように実家に通い続けた。特に両親が老いて病身になってからは、彼らの支えになっていたし、二年前に母親が家を出たあとも、毎週末、家の管理をしに出向いていた。 母親が亡くなって、空き家になった自宅…

ハヤブサを見た

昼休み、河口付近の商業施設にお昼ごはんを食べに行く。すぐ頭の上の空を、二羽の鳥がもつれながら飛んでいく。カラスか何かがじゃれているのかと、反射的に思った。 しかし、川の向こうに逃れていった一羽はハトで、取り逃がした方の一羽は、今度は急転回し…

鳥居の話

元乃隅神社はごく新しい神社だが、その姿には景観の見事さという以上の説得力が感じられる。断崖絶壁の岩場に立てられた鳥居は、参詣者のためのものというよりも、海からやってくる超自然的な存在を迎え入れるためゲートと考えるほうが自然だろう。 諸星大二…

大風のなかのチョウゲンポウ

冬の嵐のような大風の中、自在に飛び回る鷹を見て、気持ちが高まったという話。 僕の住むあたりより山側の集落で車を走らせているとき、鷹らしき鳥の姿が目に留まったので道路わきに車をとめて、単眼鏡をもって外に出た。 鷹は二羽いる。細長い翼の先がとが…

初代ターセル後期型ソフィア 1981-1982

箸休めにもならない内容だが、僕が生まれて初めて購入した車がなんであったか、という話。 会社員になって二年目だと思うが、中古車屋から40万か50万くらいで1300㏄の3ドアの赤い小型車を買った。1985年のことだ。免許を取ってから1年以上空いていたから、…

初春の女郎蜘蛛

暖かいお正月だったが、今日にいたっては日中20℃にもなった。4月の陽気である。 正月連休前には、職場近くの林のジョロウグモは、二匹を残すのみだった。前年の冬よりサバイバーの数は少ない。久しぶりにのぞいてみると、一匹だけは年を越してまだ生きて…

ヒラトモ様と「海竜祭の夜」

諸星大二郎の妖怪ハンターシリーズ「海竜祭の夜」は、加美島という架空の孤島の祭りが舞台になっている。島には安徳神社があり、浜辺には鳥居が並んでいるが、不思議な事にその鳥居は陸に向わず、カーブを描いて再び海に向いている。 海竜祭は、壇之浦で平家…

神々への初詣

正月の旅行から戻って、めまいが再発するなど体調がすぐれず、正月5日になってやっと大井の神々への初詣がかなった。 和歌神社、水神様の前で黙礼して、久しぶりに里山に入る。やはり竹が倒れて道があれている。昨年から息切れ勝ちでもあるし、山の中でたお…

こんな夢を見た(映画)

弓の老名人、といっても西洋人風だからアーチェリーかもしれないが、とにかく彼が若い愛人に裏切られて捨てられる。彼は、二人の女性を仲間にして、元愛人への復讐を企てる。 元愛人が花形選手として出る大会がある施設で開かれるのだが、そこから斜面を登っ…

こんな夢をみた(初夢)

ある知人が弁舌さわやかに話をするのを聞く。僕が尊敬し好きな知人だ。しかし、そのあと迷い込んだ路地で、偶然彼の別れた奥さんがやっているスナックのような店に足をいれてしまう。彼女は、元だんなは言葉が巧みだけれども・・・と言って言葉をにごす。 い…

元乃隅神社と諸星大二郎

萩の近くでは、元乃隅(もとのすみ)神社が、観光スポットとして、いつの間にか有名になっている。写真を見ると確かに魅力的なロケーションなので、二日目のメインの立ち寄り先に選んだ。 1955年の創建という新しい神社だが、白狐のお告げによるという稲荷社…