大井川通信

大井川あたりの事ども

鳥たち

山雀の五右衛門風呂

ヤマガラ(山雀)は、住宅街にもよくでてくるシジュウカラ(四十雀)によく似た小鳥だ。シジュウカラは、黒白の頭に灰色の羽をもつ小鳥。こうかくと地味なようだが、色の塗分けがきれいで、モダンな印象。 一方、ヤマガラは、お腹が濃いオレンジなのはいいが…

トビとアオサギ

またしてもトビの話題で申し訳ない。鳥好きの人からみれば、おそろしく雑な鳥見報告に思えるだろう。しかし、珍しい場面を目撃したので、記録しておきたい。 かなり上空をトビが旋回している。その近くを旋回する鳥がいるのだが、トビの仲間にしては形が違う…

台風一過

夕方から、いよいよ台風が近づいてきて、雨風の合間に、ふいに突風につき飛ばされそうになる。空には、ちぎれた雲がいっせいに同じ方向に流れているが、その中を、飛行機が一機、ななめに横切っていく。こんな天候にどうしたのだろうか。家の周辺を見回り、…

トンビとカラス

テレビシリーズの日本昔話に、こんな話を見つけた。 昔、鳥はみんな白かったという。トンビの田んぼの田植えを、鳥たちみんなが手伝いにきたりするのは微笑ましい。村人の似姿だ。そのときに、連れてきたヒナたちが、親を間違えてついて帰ってしまう。 村の…

トビとナマズ

ふいに田んぼから飛び上がったトビが、何かだらりとつりさげている。魚にしてはヒレなどが目立たずに、妙にぬめっとしている。反対側のあぜに着地しても、獲物に食いつく様子はない。気になって近づくと、また同じ獲物をぶるさげて、林の入り口まで飛んで行…

トンビに油揚げをさらわれる

こんどは、学校に行きにくい子どもたちに話す機会に、鳥の鳴き声について解説してみることにした。かりに人間関係に難しさを感じているなら、自然との友人関係は、どんなにか支えとなるだろう。 友だちになりたいなら、どうしたらいいかな。相手のことに関心…

ホトトギスが鳴いた

5月16日の日中に、ホトトギスの初音を聞く。ほんとのことを言うと、先週くらいからそれらしき鳴き声をかすかに聞いていたのだが、まちがいなくホトトギスと認識できたのは初めてだ。手元のメモを見ると、昨年は5月12日、2015年は5月13日、2014年は5月18日と…

氏神とキビタキ

縁があって、とある氏神のお祭りに参列した。社は、小山の頂上にあって、林で囲まれた野外の境内でお祭りはとり行われた。大きな神社からきた狩衣の神職が、祝詞をあげたり、お祓いをしたりする。その間、参列者は、若い巫女さんの指示で、頭をさげたり、玉…

高槻のこずえにありて

鳥見を始める前は、短歌や俳句で名前だけを先に覚えてしまい、実物を知らない鳥がけっこういた。ホオジロもそのひとつ。 「高槻のこずえにありて頬白のさへづる春となりにけるかも」 島木赤彦(1876-1926)のこの歌は、春の訪れの喜びを歌って鮮烈だ。高槻…

鳥たちの「春活」

通勤の道の電柱の上に、木の小枝でまるまるとくみ上げた巣に、さかんにカササギが出入りしている。電力会社に撤去されないことを祈ろう。 小さなカササギみたいな優美な姿のセグロセキレイが、田んぼのあぜ道でふしぎな振る舞いをしている。オスがきれいに黒…

ミロク山でサシバが舞う

「ひさの」に入居するHさんからお話をうかがった。Hさんは、大正三年生まれの103歳。Hさんが生まれ育ったのは、数キロメートル離れた近隣の旧村だ。話を聞く前にも、予習として江戸時代の地理書に目を通したり、少し歩いてみたりしていたのだが、実際にお…

カシパンとトビ

今の時期の浜辺には、海流の関係か、様々なものが打ち上げられる。製造年月日が先月の真新しいハングル文字の飲料ペットボトルが転がっている。先日ミサゴが、海面から獲物のダツをつかみあげる場面を目撃したが、ワニのような口のダツの頭だけが落ちている…

イソヒヨドリの弾道

国道沿いの駐車場に車を停めていると、黒い影が、前方の上空からまっすぐに飛んできて、見る見る大きくなって、頭をかすめる。とっさに振り向くと、そのままの浅い角度で、少し先の自動車の下のあたりに「着弾」した。 イソヒヨドリだ。そっと近づいてのぞき…

モズのはやにえ

ベテランの天文ファンの知人がいた。その世界で実績を積んでいて、自宅にも望遠鏡のドームを作り、相当の機材をもっていたようだ。僕は、小学生の高学年くらいの時だけの天文ファンだったが、デパートで望遠鏡のカタログを集めてきて、穴があくほど見つめて…

ミサゴと謎の魚ダツ

すっかり春の海だ。ここは外海だけれども、今日は波も穏やかで「ひねもすのたりのたり」という風情だ。僕はウニの仲間の殻を集めているのだが、この季節には、不気味な宇宙人の頭骨のようなヒラタブンブクや、丸くて薄いカシパンの殻が大量に打ち上げられる…

春が来た

何度も寒波に押し戻されながら、とうとう春がやってきた。 昨日初めて林のなかから、つっかえつっかえのさえずりを聞かせてくれたウグイスも、今朝はいくらか上手に「ホケキョー」と鳴いている。遠くのやぶから、ちょっとこい、ちょっとこい、とコジュケイの…

ミカンを食べる二羽のカラス

川の浅瀬に浮いていた大きなミカンを、一羽のハシブトガラスがくわえて、川べりまで持ち帰って食べ始めた。片足で動かないように押さえてから、鋭い嘴の先で打撃をくわえて穴をあけると、そこから嘴を入れて果肉をひっぱりだして食べている。なるほど、カラ…

カメラと鳥見

河口付近の枯れ木の梢で、カワラヒワがキリリと小さく鳴いている。双眼鏡で見ると、左右に首を振り向けながら、そのつど首をかしげている。可愛いのが半分、奇妙なのが半分の動作だ。何のためにしてるのか、考えながら歩いていると、望遠レンズ付きのカメラ…

春一番とガビチョウ

昼間、車道の脇を歩いていたら、ボヤっと赤いものがゆっくり飛んできてズボンに止まる。のぞきこむと、ナナホシテントウだった。手に取ると、思ったよりはるかに小さい。ただ暖かい日差しを受けて、濡れたように光っている。指を立てると先端まで登って飛び…

闖入者ミソサザイ

芭蕉の門人に野沢凡兆(1640-1714)という人がいる。才能豊かだったが、師を離れ不幸な晩年を送ったらしい。学生の頃、凡兆が気になって、大学図書館から戦前出版された全句集を借り出したことがある。その時全頁をコピーして紐で閉じたものが手元に残って…

シロハラの事故死

施設のガラスに激突して、そのまま死んでしまったシロハラのオスを見つけた。ふだん遠くからうかがうだけの鳥を、間近に観察できるのはこんな機会しかない。生活ぶりも、見た目もとても地味な印象の鳥なのだが、実際には、色合いのグラデーションが繊細でと…

チョウゲンボウを見た

初夢の縁起物として、一富士二鷹三茄子、と言われるくらいだから、昔から鷹は珍重されてきたのだろう。トンビが鷹を産む、ということわざからは、姿形が立派でもめったに生きた獲物の狩りをしないトンビは、鷹のカテゴリーに入れてもらえないことがわかる。…

センダンの生存戦略

海に近いこの地方では、松や杉などの常緑樹に混じって、すっかり葉を落とし、枯れ枝に鈴なりの実をつけたセンダンの木が目立つようになった。サクランボより小さな黄色っぽい実が、太陽の光を浴びると金色に輝いて意外なほど美しい。 鳥見の会に参加して、ま…

ミサゴの寒中ダイブ

強い海風が吹きすさぶ上空を悠然とミサゴが飛ぶ。風にのって旋回する姿は一見トビのようだが、羽ばたきはずっと力強い。ウミネコのようなしなやかな翼に短い胴をもつ白っぽいタカで、翼を開いた長さは大人の身長ほどもある。 広い河口には、次々に白い波が打…

鳥たちと出会う瞬間

めまいはなんとかおさまったが、凍てつくような寒さである。無理に用事を作って、昼休み外にでる。用水路の脇の道を歩いていると、水路の擁壁の上で、セキレイが争っているのを見つけた。セキレイは、尾が長くスマートな小鳥で、ハクセキレイが地べたを歩く…

ツグミが来た日

先月末からしつこいめまいに苦しめられているのと、冷え込みがきつくなったこともあって、外歩きがすっかりご無沙汰になってしまった。大井川歩きの名がすたる。 昼休み、おそるおそる職場の近くの林を歩いたのだが、ヒヨドリのせわしない鳴き声の合間に、プ…

鳥たちの冬支度

今朝、通勤の道で、ジョウビタキのオスとメスがにらみ合っている場面に出合った。オスは、車道の隅にうずくまって動かない。メスの方が、さかんに場所を変えたり、近づいたりして挑発する。付近は、広い原っぱの空き地があるから、どちらも譲れないナワバリ…

渦巻けるカラスの群れ

先日、今年初めて、ミヤマガラスの群れを見た。かつて塩田のあった開けた農耕地を走る県道で、道路わきの電線にカラスがずらっと並んで止まり、田畑にも散らばってエサをあさっている。ただしミヤマガラスにしては小さな群れで、大群になると、カラスがぎっ…

ジョウビタキがやってきた

玄関を出ると、隣家の屋根の上から、「ヒッ、ヒッ、ヒッ」という声が聞こえてくる。鳥の聞きなしは微妙なものが多いが、こればかりは、「ヒッ、ヒッ、ヒッ」としか聞き取れない。その合間に、カタカタカタと小刻みにモノをたたくような音も聞こえる。 ジョウ…

サイクリングロードの雉

サイクリングロードの片側の水路の上を、時々、グリーンの背を輝かせてまっすぐにカワセミが飛ぶ。年配の人が、カメラでそれをねらっている。道の反対側は深い森なのだが、ふと見ると、足元の草の上に大きな鳥がへたり込んでいるので、ギョッとした。 まだら…