大井川通信

大井川あたりの事ども

2023-01-01から1年間の記事一覧

通勤電車で金の光がひらめく(放射編)

今年になって金光教の勉強をし出して、いろいろな事がわかってきたが、まだ十分に理解できたという気にはなれない。 僕の宗教理解が進んだのは、20年近く前に今村先生の手引きで清澤満之に出会って以来だが、その後羽田先生をはじめとする真宗の近代教学の教…

ヤングアダルト本研究会を見学する

数年前、図書館司書の資格のための勉強をして、YA(ヤングアダルト)本というジャンルがあるのを知った。日本語の語感からは、何を表しているかはわかりにくい。簡単にいうと、中高生くらいをターゲットにする本の総称だ。 子どもの本というと、やはり小学…

勁草書房の哲学思想論文集

大学では法学を専攻したが、当時の専門書や教科書はほとんど捨ててしまった。趣味の哲学思想関連本の方がまだ多く手元に残っている。 今回、橋爪大三郎の『仏教の言説戦略』(1986)を読んで、勁草書房のA5版の単行本シリーズが、当時の僕には別格の重みが…

『蓼食う虫』 谷崎潤一郎 1929

読書会の課題図書だったが、風邪で参加できなかった。谷崎潤一郎を読むのは初めてだったので、なんとか最後まで読んでみた。そうかくのは、途中までかなり退屈だったからだ。後半になって、通人の義父と若い妻との淡路島の浄瑠璃見物に主人公が同行する場面…

デパートで手品を買い始めた頃

1960年代末に立川のデパートの玩具売場では、テンヨーの手品道具だけが置かれていたと思う。テンヨーの製品は、今では吊り下げて展示されるのが主流だが、当時は小箱に入ったものがガラスケースの中に並んでいた。 小箱は黄色や緑色がベースの装丁で、子ども…

BAND-MAID vs. イクイノックス vs. 虚弱体質

旅行の予定日が近づいても、いっこうに風邪がよくならない。二日ほど出発を遅らせて回復を待ったが、もともと風邪をこじらせてしまう体質だし、家族の症状を見てもながびきそうだ。遅らせた予定日の前日にあきらめて、12月中旬の帰省に変更した。 BAND-MAID…

『仏教の言説戦略』 橋爪大三郎 1986

『ゆかいな仏教』を読んだ関連で、20代から積読していた橋爪の論文集に手を出してみる。言語ゲーム論をベースにした橋爪の宗教社会学の方法論は、ぜひ今後の金光教理解の手がかりにしてみたい。 ただ何より、仏教というものの把握という点で、興味深く役に立…

こんな夢をみた(勉強会)

広い執務室のようなフロアーだったが、どこか学校の教室のようでもある。いろんな人たちがいる。 僕よりは若い中年の女性がいて、ムードメーカーのように明るい。本をよく読んでいる人がいるから、あなたに紹介したいと言われる。その女性は心酔しているよう…

『左川ちか詩集』 川崎賢子編 2023

体調悪化で参加を断念した読書会での課題図書。左川ちか(1911-1936)は戦前のモダニズムの女性詩人で、25歳で夭折している。うかつにもその存在を知らなかった。 伊東整と交友があり弟子として影響を受けていたというが、彼の素朴なイメージの抒情詩とは全…

デパートの時代

以前に住宅について書いたときに、子どものとき当たり前だった社宅と公団住宅が主役の座をおりて、今ではマンションばかりが目立つようになったことに気づいた。この激動の時代に半世紀以上生きていると、様々な分野で大きな主役交代に立ち会うことになる。 …

デパートの焼きそばの思い出

子どもの頃、母親の買い物についていくのが楽しみだった。駅前の西友や地元の商店街に行くことが多かったが、休日などには隣町の立川までバスででかけた。立川は駅前にいくつものデパートが並ぶこの地域一の繁華街で、あこがれの街だった。 やがて小学校の上…

行橋詣で(11月)

昨日までなんでもなかったけれど、朝起きると身体が重い。今日は行橋に行ってその帰りに夕方折尾で詩歌の読書会に参加する予定だったが、夜の日程をこなすのは無理だろう。行橋ももし向こうに着いたときに体調が悪いのであれば、長崎のお土産だけをおいて帰…

『われを救える教祖』 高橋正雄 1933

井手師から8月に推薦された書物で、すぐに手に入れていたのだが、読み終えるのにずいぶん時間がかかってしまった。同じ時に推薦された高橋一郎の『求眞雑記』と『金光教の本質について』を感激して即座に読み終えてしまったのとは対照的だ。これは本書が読…

『ゆかいな仏教』 橋爪大三郎・大澤真幸 2013

ちょうど10年前に読みかけにした本。今回再読してよかった。 橋爪大三郎(1948-)と大澤真幸(1958-)は僕らの世代にとって社会学の師匠とエースであり、思想家としておおいに魅了された時期もあったのだが、このところの啓蒙書の類ははっきりいってつまら…

『はてなし世界の入り口』 森毅・木幡寛 (文) タイガー立石(絵) 1985

ビブリオバトルの運営の打ち合わせで、急遽本の紹介のデモンストレーションをすることになった。バトラー全員が未経験者だったので、やはり初めに見本が必要ということになったのだ。運営の初心者で機材等の設置にも不慣れな僕は少しは役に立ちたくて、デモ…

コロナワクチン(5回目)を打つ

ずいぶん古臭いトピックになってしまった気がするが、コロナワクチンを打ってみた。およそ1年ぶりで5回目になる。 コロナワクチンについてはいろいろな考え方があるのは多少とも知ってはいるが、僕の判断はわりと単純だ。 それは僕が比較的早い時期(まだ…

「意識高い系」読書会

今月の吉田さんとの勉強会は、僕の方は菅孝行の自伝がらみで特に映画会社時代のエピソードを報告したが、吉田さんからは最近参加した読書会についての感想メモの提出があった。読書会については僕はいろいろな経験をこの場で話題にしてきたが、吉田さんから…

実践発表型ビブリオバトル

初めて主催者側として、ビブリオバトルの運営の手伝いをした。バトラーや観戦者としてだけでなく会場設営などのボランティアをしたことはあるが、運営側となるとまた別の経験となる。もっとも仕事としては様々な研修会の主催や運営側に立つことも多かったの…

拍子木はどこで買えますか?(茶わん蒸し「吉宗」)

長崎市内の商店街を歩き、茶わん蒸しの専門店「吉宗(よっそう)」を目指す。妻のリクエストだったので、僕は前情報なしに来たのだが、江戸時代の商家のような立派な店構えで、行列ができている。 我が家の家風として名店は避けるし行列を待つようなこらえ性…

長崎ドライブ

秋の行楽シーズンとなったので、出不精の僕も計画を立てて家族でドライブに出かけた。今年は次男も求職活動中で家にいるから、ゆっくり三人で旅行するいい機会なのだ。ただし、家には猫がいるので、せいぜい一泊くらいしかできない。 それで、妻が名前をあげ…

友達にお金を貸すこと(後半戦)

この二年半、友人に借金返済の話はまったくしなかった。コロナ禍も続いていたし、友人の体調の問題もある。とても切り出せる気はしなかったし、あれだけしっかり言ってあるから大丈夫だろうと思っていたのだ。 友人にも大きな仕事が入り出して、そろそろ返済…

友達にお金を貸すこと(前半戦)

友達に貸したお金はかえってこない。だから、あげるつもりでないと貸してはいけないというのは大原則だ。友人からお金がかえってこないと泣き言をいうのは愚かである。そう思ってきた。 知り合いに借金するのは最終手段だろう。相手方の経済はひっ迫している…

BAND-MAID vs. イクイノックス

今月26日のBAND-MAID の横浜アリーナのライブに行くことは、8月にチケットが取れた時から決めていたことだ。そもそもコロナ禍の直前の2000年2月に彼女たちを「発見」していらい、翌年2月の武道館に行くことを楽しみにしていたのだが、あえなくライ…

現役最強馬とは誰か?

競馬観戦歴がこの天皇賞秋でちょうど3年になった。耳学問(ネット情報)でいろいろなことを吸収してきたが、競馬ファンにとっての関心事に、現役でどの馬が一番強いか、ということがある。歴代最強馬という言葉もあるが、これは同時代にレースで戦っていな…

ガソリンスタンドにおける不器用

家族と宿泊でドライブに行くので、久しぶりに洗車機で車を洗おうと、洗車のときに何度も使っているスタンドに入る。 洗車カードを機械に入れると、思ったより残高がある。ニヤリ。余裕でいろいろなセッティングのボタンを押し終わって、いざ指示通りに洗車機…

耶馬渓の橋の上で101歳の齋藤先生の電話をとる

休日、妻とドライブに出かける。その前の日、珍しく耶馬渓に行きたいと聞いていたからだ。次男は教習所があるので、二人だけで行くことにした。妻はさほど乗り気ではないみたいだが、こんな時は体験上(妻の精神衛生上)出かけた方がいいのだ。 耶馬渓につく…

こんな夢をみた(海賊団)

古い役所のような建物(職業安定所だろうか)の薄暗い一室で、歳をとった男同士が向かい合って立っている。二人は口論をしているようだ。 やせた方の老人が、太った方の老人にやたらに突っかかっている。話は海賊団のことになった。「K海賊団なら、船の甲板…

『52ヘルツのクジラたち』 町田そのこ 2020

地元の公立図書館に講演に来るからということで、数年前に話題になった小説を手にとることに。上手に書けていて悪い小説ではないけれど、すこしモヤモヤが残った。もともと「小説家」の講演会に行くことはほとんどないし、あまり良い思い出もない。それでど…

午後4時5分

午後5時15分に父親が自転車にのって帰宅する、その1時間10分前、子どもたちが家のテレビに我が物顔に群がっている時刻。 その時テレビから鳴り響いていたのが、「4時5分 ♪ 4時5分 ♪」の軽快なメロディーだった。「楽しくテレビを見るために~ 楽し…

午後5時15分

職場をフライング気味に出て、連絡のいい快速電車にのると、一時間もかからずに家に帰宅することができる。 住宅街の入り口のババウラ池の近くまで歩いてきて、ふと時計を見ると、午後5時15分の表示が出ていた。この時刻には見覚えがある。 父親がリーカ…