近頃は、双眼鏡をもって散策することがなくなったばかりでなく、短眼鏡を失くしてしまって、往復の通勤時に鳥を見つけることもまれになってしまった。こんなことではいけないと思いつつ。 駅までの通勤路で、街なかにあるため池の名前は新池という。冬場で水…
読書会の課題図書だが、100頁にも満たない作品だから、ブックカフェで読み切ってしまい、購入しなかった。もともと、こうした芥川賞受賞の話題作を読むのは苦手で、読書会への参加にも後ろ向きになっていたところだった。 ところが、そういう悪意の先入観を…
ある僻地の学校を視察することになった。電車で目的の駅に行き、そこから歩いて数キロの場所だ。学校の敷地は細長く建物も貧相だったが、この地域の資力ではこれが精いっぱいだったのだろう。近隣のいくつかの集落が校区になっているが、そのうちの一つは性…
多摩歩きのガイドブック『武蔵野風土記』を手に入れたことで、僕の子ども時代の蔵書再構築プロジェクトはほぼ完成した。本の汚れ等に敏感な僕の場合、ただ集めればいいというのではなくて、一定程度の「美品」であることも大切だ。こんなことができたのもネ…
先週は井手先生がご不在だったので、今週またお伺いする。一つには、本日が先生の誕生日なのでお祝いをすること。新年に提出した金光教レポートの一頁目の日付がたまたま昨年の今日だったことに先生が少し驚かれて、それでたまたま誕生日を知っていたのだ。…
玄関の脇に、大きなキャリーバックが置いてある。明日、妻が天神のお店にスペースを借りて小物を出品するからその準備だろう。思ったより大きなバックなので、持ち上げてみるとかなり重い。これはまずい、と思った。 かなり前から明日の出品は自分で電車にの…
昨年11月からは、しつこい風邪に悩まされた。咳と淡と鼻の炎症がすぐにぶり返す。検査では一応陰性とはいえコロナだったかインフルエンザだったか、直前にうったコロナワクチンの副作用だったかわからない。年齢による衰えも含めて複合的なもののような気が…
「天日はありがたいに相違ない。またこれがなくては生命はない。生命はみな天をさしている。が、根はどうしても大地に下さねばならぬ。大地にかかわりのない生命は、ほんとうの意味で生きていない。天はおそるべきだが大地は親しむべく愛すべきである。大地…
鈴木大拙の『日本的霊性』が面白かった。本書が提示する「日本的霊性」の概念はなかなか魅力的だ。著者も、具体的にわかりやすくその内容を説明している。煙に巻くような感じではない。説明の道具立てもシンプルで、繰り返しすこしづつ角度を変えながら照明…
中央公論社の「日本名著」の一冊で清沢満之を読んだついでに、ふと併せて収録されている鈴木大拙の『日本的霊性』を読んでみようと思った。 鈴木大拙(1870-1966)が清沢よりもはるかにビッグネームで多くの著作があって国際的に評価されていることは知って…
僕はどう考えても文系人間のくくりに入ってしまうが、数学や科学に対するあこがれはある。科学技術が光り輝いていた60年代に幼少期を過ごした人間の共通感覚だろう。だから、数式を使わずに「考え方」で数学を説明する画期的な本が面白かった畑村洋太郎の…
いつもより早めだが、二月は逃げるというので、三連休の中日に行橋に向かう。今回は初めて井手先生が不在だった。ただ、広前には先生の奥様が出てきて座ってくださる。奥様とのエピソードはいろいろお聞きしていたので、いつかはお話をしたいと思っていたと…
読書会の運営について、僕はメンバーの一人に熱弁を振るっている。 僕の理解では、つまりこういうことですよね。詩集の課題図書について、それを芝居仕立てにして三人の女性で報告しようとした。ところが、そのうち二人が当日参加できなくなって、会が流れて…
駅から自宅までの帰り道は同じ道を歩くことが多いが、途中で病院の敷地内を通り抜けることもある。病院は岡の上にあって、いつも歩く道はその周囲を迂回しているので、多少ショートカットにはなるのだが、階段を上り、坂を下らないといけない。樹木も多く公…
「日本の名著」の現代語訳で、久しぶりに清沢の『宗教哲学骸骨』を読み直してみる。初めて読んだのは、今村先生による現代語訳の文庫本だった。こんな風に宗教を、というか世界を語ることができるのかと驚いた記憶がある。 今読んでも、その簡潔でスキのない…
以前の職場の部下の結婚式に招待される。スピーチや乾杯の音頭などの役割のない結婚式は気楽だが、その分緊張感がなくて物足りなくもある。仕事関係で結婚式に呼ばれるなどというのもおそらくこれが最後だろう。そもそも若い人も減り、結婚自体も減り、フォ…
絵本で近頃の収穫は、なんといってもヨシタケシンスケだ。書店で平積みになっている何冊かをめくって、いいなと思った。 昨年末の中学生のビブリオバトルでバトラーの女の子が取り上げて、それに対して大学生のボランティアがヨシタケ作品を好きだといって質…
人生の中で「奇蹟」と思えることは、超自然的な現象というものより、得難い人との出会いだろう。誰でも友達を6人たどれば、全世界の人に行きつくという現象(スモールワールド現象、6次の隔たり)こそ、その奇蹟の客観的な表れである。 多くの人は、日常で…
春の競馬シーズンまでは日にちがあるが、それでも重賞クラスのレースは関心を持ってみている。この時期には短期免許で新しい外国人ジョッキー短期免許で来日するから、その騎乗ぶりも楽しみ。 昨年の注目株はカザフスタン出身のムルザバエフジョッキーだった…
もう10年以上前のことだが、いろいろな場所にモノを置き忘れることが続いた。たまたま以前に大きな記憶障害を経験したことがあって、記憶についてはある程度勉強していた。正確な名称は忘れたが、短期記憶の中で、自分のふるまいを無意識に短時間保持して置…
清沢満之が一般の読書界に広く知られるようになったのは中央公論社の日本の名著シリーズの第43巻(1970)で鈴木大拙とともにとりあげられたのがきっかけだと聞いているが、そのペーパーバックス版(1984)を僕は手元に持っている。 ぱらぱらとながめていて…
乱暴者の元同僚Kさんが、華やかな展示会の会場に乗り込んできた。ホテルの一階のホールのような場所だった。展示会に恨みをもつKさんが、暴力で会場を破壊しようとしたのだ。僕はその場にはいたが第三者のような扱いで、乱入したKさんとも普通に言葉を交…
職場に生命保険の営業の人が出入りしていて、来るときは毎日小さな手作りの新聞(メモ?)を配っている人もいる。その中になそなぞコーナーがあって、毎日ひとつなぞなぞが載っている。答は翌日に発表される。今では、ネットになぞなぞのサイトなどがあるか…
著者の安冨信哉(1944-2017)が亡くなったあと、2018年に真宗文庫として再刊されたもの。 以前に末木文美士の論文集『日本の近代仏教』を読んだが、今回の本は、あくまで浄土真宗大谷派の「近代教学の伝統」の視点から明治大正期の社会の中での仏教の動きを…
妻は小物をつくりながら、いつもYouTubeの政治系チャンネルを聞いている。もともと新聞もニュースも世間の事はなんの興味もなかったのに、動画を見出してからは、こんなものにはまっている。単純明快な理屈で、誰かを目の敵にするという論理が娯楽になるのだ…
新年になって一か月が経とうとしている。宇部へのプチ家出から始まった一年は、僕にとって幸先のいいものではなかったが、家族もそれぞれに難局を迎えているようだ。 長男は、転職活動で内定をもらい今のレアメタルの会社を辞めることになりそうだ。初めの転…
昨年11月に風邪をひき始めてから、地元をほとんど歩かなくなった。例年なら年明けには地元の神様に初詣にでかけて日本酒の小瓶を供えるのだが、今年はずるずる遅くなってしまった。体調の問題だけでなく、身近な人間関係のストレス、休日の予定が増えたこと…
バードウォッチャーを自称して、一時はその記事も多かったが、近頃はすっかり鳥のことも書かなくなった。思い返しても、この冬は街中でイソヒヨドリのメスの姿を見かけたくらいだ。あとミヤマガラスの群にも会えた。しかし、フィールドを歩き始めさえすれば…
吉田さんとの例月の勉強会。僕はよいテーマが思いつかず、最近のブログから新語についての記事をまとめてレジュメにした。「おっさんビジネス用語」「食い尽くし系」「時間を溶かす」「押し活」「宗教2世」など。 新語が浮上する背景には、価値観の変化があ…
20年前以上に出版された宗教社会学の入門書を、今回ようやく読了した。何度か手にとっていたし、2010年に読み始めた日付が書き込まれているが、その時は挫折してしまったのだろう。この間、廃棄本にしようと思ったことさえある。すでに文庫化され安価に手に…