大井川通信

大井川あたりの事ども

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

次男の子育て(「入社一年目の反省と来年の抱負」)

今年を振り返って、4月の1日目、改めて〇〇に行って、施設内に入った時は「ぼくの仕事人生はここから始まるのか」と思いました。 まず最初に行った仕事は、〇〇朝礼の誘導でした。最初はトレーナーさんと二人で誘導していましたが、段々慣れてきて、今では…

次男の子育て(社内報・作文)

「育ててくれてありがとう」 私は今から22年前に〇〇県〇〇市の〇〇家の次男としてこの世に生を受けました。生まれる際、軽い障碍と、日常生活や仕事などに支障が出る病気を患ったのですが、父や母のおかげで長い時間をかけて寛解する事ができ、軽い障碍は両…

『田宮虎彦作品集 第5巻』を読む

ネットオークションで、状態のいい作品集全6巻を安価で手にいれたものの、今までの僕ならそのまま書庫にお蔵入りになってしまうところだ。いつか読むというのが言い訳だったけれど、人生のタイムリミットが見えてきた感のある今では、それは通用しない。 幸…

舞台版『気づかいルーシー』を観る

先々週と同じく、北九州芸術劇場の中劇場で観劇する。前回の失望が大きく、チケットを買っているものの、今回はさぼろうと思ったほどだった。といっても家でのごろ寝ほど精神にも身体にもよくないことはない。気をとりなおして出かけることにした。 コロナ明…

思わず舞踏に触れる

知り合いから絵の展示と詩の朗読などの集まりに誘われた。読書会仲間が詩を読むから参加したのだが、音楽の演奏と舞踏のパフォーマンスもあって、マイブームの舞踏に予想外の場面で触れることができた。 アパートを改造したアトリエで、10人ばかりが坐ると、…

長男と飲む

再就職した長男の職場は博多駅の近くにあって、僕もこの4月からはこの近辺で働くようになった。お盆休みに話したときに、こんど、仕事帰りのサラリーマンみたいにいっしょに飲もうかというと、そうしようという。それで、実際にメールで誘ってみると、意外…

古書『深尾正治の手記』の諸短編を読む

椎名麟三は、僕に新鮮な読書体験を与えてくれる作家だ。古本屋で投げ売りされているような日本文学全集の一巻を初めて読み切ったのは椎名だったし、戦後初期のシミだらけの古本で小説を読んだのも、この本が初めてだった。新刊が流通していないのが原因だが…

そうだ田宮虎彦を読もう!

ネット記事で、半世紀も前の『群像』(1974年1月号)に「批評家33氏による戦後文学10選」というアンケート特集があったのを知った。敗戦後30年弱。戦後文学をめぐる論争がまだ熱を帯びていた時代だ。 残念ながらネットでは全員分ではなく、その三分の二…

『坑夫』 夏目漱石 1908

この小説は、若いころに読んだ柄谷行人の漱石論でも評価されていたし、自分の炭坑ブームもあったから、もっと早く読んでいてもよかった気がする。そうはならなかった理由が、今回読み通してよくわかった。 さほど長くはない小説だが、とにかく読み通すのに骨…

『深尾正治の手記』 椎名麟三 1948

敗戦後わずか二年半で出版された古い作品集で、この中編小説を読む。どのページにもシミが広がっているが、紙質が悪くとも製本だけはしっかりしていて、読むことに問題なかった。 僕は本に関しては比較的潔癖で、少しでも汚れた古本を買ったりすることはない…

漱石の句を読む

読書会で岩波文庫の『漱石俳句集』を読んだ。 順番に一つ作品を選んで感想をいい、参加者全員からコメントをもらうというやり方(これを三巡する)の会だから、自分が一ネタをしゃべれるだけではなく、各人それぞれの読み方ができるふくらみをもっていること…

『民主主義とは何か』 宇野重規 2020

読書会の課題図書。民主主義という概念の歴史をわかりやすく丁寧に論じていて、一読勉強になるという感じ。しかし辛辣にいうと、一週間後に何か残っているかというと、何も残っていないという読書体験だった。 それはなぜか。この本で提出された問いと答えや…

盆明けからは逆襲だ(by 絶望退職おじさん)

お盆が終わったら、とたんに涼しくなった。例年このころは秋の気配を感じるようになる時期だが、今年はちょっと極端だ。 このところの怠惰の言い訳として、猛暑やそれによる夏バテのせいにしたところがある。この過ごしやすさを反転攻勢のきっかけにしよう。…

こんな夢をみた(管理職試験)

職場の管理職の試験を受けにいく。駅は、東京の武蔵境のようだが、実際の姿とはかなり違う。僕は「受験票」を忘れていて、それを気にしている。たぶん口頭で申告すれば大丈夫だろう。(自分は退職しているから、この試験にどんな意味があるのだろう、と若干…

岡庭昇と吉本隆明(再掲)

岡庭昇(1942-2021)を読み直すときに、吉本隆明(1924-2012)の軌跡を参照軸にすることもできるだろう。狙いは、「戦後思想の巨人」に照らして、岡庭昇の仕事の大きさを示すこと。 〈詩と詩論〉 吉本隆明は詩人であり、詩についても多く論じている。前の…

教祖の息子

ある新宗教の教祖の長男が、ネットの動画配信者となって教団の暴露をしている。3年ばかり前からのことだが、今回初めていくつかをまとめて見てみた。 組織の内情の暴露といっても、単なる関係者と、教祖の家族しかも後継者として嘱望された長男とでは重みが…

ネットオークションで絵を買う

僕は今まで、ネットオークションで版画を買ったことがある。焼き物も買ったことがある。しかし絵画は初めてだ。 版画は中村宏さんのものが二枚。小学生の頃に絵本の挿絵で知って好きになり、その後もいろいろな思い出がある画家だ。ご本人とも特別展中の美術…

ジェラQ登場

真夏になって家を空けるときには、猫たちのためにクーラーをつけたままにしておくことが多い。日当たりも良く戸締りのため密閉された室内はかなりの高温になってしまうからだ。それでも電気代節約には比較的神経質な僕は、以前だったら猫にために冷房するこ…

お盆に

お盆の休日に、長男を博多のマンションに迎えに行く。家族四人そろって、妻の親族の墓のある東長寺にお参り。空海が作った古いお寺だが、新しく大仏や五重塔を設けるなど不思議な活気がある。 妻の実家のあった呉服町に車を停めて、幼児の頃遊び場だったとい…

芝居でいたたまれなくなる

せっかく舞台をみる勢いがついたところなので、今月も劇場にいく。評価の高い若手の演出家の芝居なので、純粋に楽しもうと思って、予備知識なしにリラックスして望んだ。ところが。 はじまってすぐのあたりは、いかにも新しい感覚の舞台だと興味をもつことが…

交渉の得意な女(その2)

次男は、特別支援学校の高等部を卒業して、学校推薦の老人介護施設に勤務して6年目になる。 2年目、3年目の頃までは、人間関係のことなどで壁に突き当たって親が乗り出したこともあったが、ここのところ落ち着いて仕事しているようだった。ただ、勤務が片…

岡庭昇のフォークナー論

今回『八月の光』を読むきっかけは、従兄にすすめられたことだったけれども、若いころからフォークナーに挑戦したいと思っていたのは、岡庭さんにフォークナー論があったからだ。岡庭さんは僕の文学の師匠だから、単独の作家論の著作のある椎名麟三、フォー…

いとこのけんちゃん

僕の育った実家の隣には、おじさん(父の兄)の家があってその家族が住んでいた。正確にいえば、叔父夫婦が家を建てて住んでいた敷地の一部に、父親の結婚をきっかけに家を建てて両親が住むようになったということだろう。専業主婦だった母親が、叔父夫婦と…

マシュマロヨーグルトとバターごはん

妻はよく「マシュマロヨーグルト」を作る。ヨーグルトにマシュマロを入れただけのもので、次男が好きでよろこんで食べている。もう何年も前からのことなのだが、この手作りデザートの由来を最近初めて知った。 東京の実家に帰省したとき、僕の母親が次男のた…

『孤島の鬼』 江戸川乱歩 1930

乱歩の長編の中でも評価の高いこの作品を、僕はまだ学生の頃に読んだ記憶がある。恐ろしくて重苦しい作品という印象だけは強く残っている。なるほど恋人や友人のあっけない死や、たくさんのおどろおどろしい仕掛けがあって、若いころの僕には刺激が強すぎた…

スマホをこわす男

フォークナーを読んで、人間が意識が先回りするままに行動してしまうことや、上の空に何かをしてしまうことの描写にリアリティがあると思った。 僕も実際、何かに夢中になると、あれよあれよを突き進んでしまい、あとから何でこんなことをしてしまったのかと…

ビブリオバトル再考

もう一か月以上前になるが、地元のビブリオバトルでバトラー(プレゼンター)として参加した。オンラインではなく人前で本の紹介をするのは、コロナの影響で、二年半ぶりになる。初めてチャンプ本(バトラーの紹介した本の中で参加者全員の投票で決められた…

フォークナー『八月の光』を読む

ひょんなきっかけで、長年の念願だったウイリアム・フォークナー(1897-1962)の代表作を読むことができた。あやうく本屋で買いかけたが、運よく蔵書の中で文庫を見つけることができた。2000年に「新潮文庫20世紀の100冊」という企画の中の、1932年刊行の一…

ジョイフル復活

地元で落ち着いて本を読む場所といえば、以前はジョイフル一辺倒だったが、今は、スーパー内のタリーズコーヒーが主で、ガストやコメダ珈琲も利用するようになった。ジョイフルには24時間というアドバンテージがあり、気をつかわずに長く居られる良さはある…

頑張ってる人より頑張ってない人から勇気をもらえる

動画配信者「絶望ライン工」さんの言葉。 彼の動画のパターンは強迫的なまでに定型を踏まえている。同じ導入、同じ制服、同じ挨拶、同じ目線、同じ乾杯、同じギャグ。ただ、そこからの微細なズレや揺らぎが笑いをさそい、突然の飛躍が思わぬ感動を呼ぶ。 こ…